その先へ～I'd like to approach～ (ページ5)

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優しい先輩達ページ5

＿5年前

『A班の教育係を担当します、櫻井翔です』

〔同じく、教育係の中里天音です〕

『〔よろしくお願いします〕』

教育係の自己紹介が終わった後、
今後の説明があって

教育係が指導するのは5月末まで。
それまでにしっかり基本を覚えること。

とにかく2ヶ月後には
完全に社員として扱われる。

『じゃぁ、今日はこれで終わります、自分のデスクとか確認したら帰っていいよ。月曜日から本格的にしごいていくから、覚悟しとけよー』

「ありがとうございました」

「なっ、咲坂飲んで帰らね？」

「いいね！就職祝いに、パァーっと行こう！」

「じゃ、帰り支度が終わったらロビーで待ち合わせな」

ロッカールームに向かう途中、中里さんに呼び止められた。

〔咲坂さん！ちょっといい？すぐ終わるから〕
「はい、なんでしょうか？」

近くの空いてる会議室に入って
ブラインドを全部しめて札を【使用中】に返した

「(何言われるんだろう…)」
って構えていたら…

〔今年度入社は女性がただでさえ少ないのに、
営業課に配属になった女性は、あなた一人でしょ？何かあったら、すぐ私に報告する事！上司とか同期に何かされたりしたら、すぐよ！わかった？〕

って私の肩を掴んで大きな目がこちらを向いてる。

確かに、今回1課に配属された女性は私一人。
入社した女性は元々多くなかったけど
他はみんな、総務部か経理部に配属されていた。

〔私の時もね、同じだったのよ…だから、これから先、何かあったらすぐ私に相談すること！〕

「はい、ありがとうございます！」

〔もちろん、プライベートな事も大歓迎よ！
後輩が出来て、私も嬉しいから、これからよろしくね！〕

その後、すぐ会議室を出てロビーに向かった。
「(中里さん優しそうな人で良かった)」

『中里、咲坂さんと何話してたの？』

〔なに？櫻井、盗み聞き？たち悪ーい〕

『ばっ、ちげーよ、給湯室から出てきたら
たまたま、お前ら見かけたんだよ』

〔あっそ…まぁ、あれよ。私の時と似てるなぁって思ってさ、先手打っといたってとこかな〕

『あぁ…、俺らの時と一緒で彼女も女性一人だからな』

〔あと、期待されてる人が多いとかね…まぁ、咲坂さんなら大丈夫よ…〕

私がのんきに二宮とSea Fishing Jizoに
向かっている時に、教育係の二人が
こんなに真剣な話をしていたなんて
知ったのは3年も経ってから。