その先へ～I'd like to approach～ (ページ33)

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お礼は持ち越しページ33

｢…櫻井さんが、通いつめる気持ちが分かります。私、全メニュー制覇したいですもん。ひとりでまた来ます！｣

『ぶっ、ヤバっ、ごめん。飛ばなかった？いや、そんなに気に入ってもらえてよかったよ』

食べながら色んな話をして…
気づけばお昼休憩の時間を、15分ほど過ぎていた

『そろそろ戻らないと、怒られるな』

｢そうですね。天音先輩はともかく二宮が怖いですから(笑)｣

席を立つと同時に、
私が伝票を手に取って会計に向かうと
後ろから、スッと伝票を取りあげられてしまった

『今日は急に誘ったから、ご馳走するよ』

「それじゃ、お礼になりません…」

『お礼？あっ、もしかして…ここをご馳走して、手料理の事、無くそうとしてる？それはダメだよ。俺、楽しみにしてるんだから』

なんでわかったのかな？

「それでも…自分の分は払います」

『じゃぁ、今度からでいいから。今日はおとなしくご馳走されときなさい。これ、上司命令な！』

ズルい…そんな言い方
いや、って言えないじゃない…

それに、“今度”って言ってたけど
また一緒に来てくれるってことかな？

お店を出て会社に向かって歩き出す櫻井の後を追っていく

「ごちそうさまでした。ありがとうございました」

『今日は急に誘ったからね。こっちこそありがとうだよ。あのさ、さっき言いそびれて…俺ね、社用のスマホでプライベートの連絡取らないようにしててさ。だから中々返信できなかったんだけど…』

そうだよね、櫻井さんはそういう人だった
仕事は仕事、プライベートはプライベートって完全に分ける人だもん

『そしたらさ、俺Aちゃんの番号知らない事に気づいて(笑)まぁ、今日聞いたし、近いうちに連絡するから』

「はい…人並みにはできるつもりなので、櫻井さんがお腹壊さないように、食べれるものを作ります…」

『ははは、人並みにできるなら大丈夫っしょ』

「あの、苦手な食べ物とか、食べちゃいけない物ってありますか？」

『特にないけど…あぁーパクチー嫌いだわ』

「わかりました、覚えておきます」

『何作ってくれんの？』

「秘密です！当日までのお楽しみって事で、お願いします」

『はは、わかったよ。』

やっと二人での会話に慣れてきたころ
会社に着いてしまった

緊張しすぎて今更ながら櫻井さんと
ランチどころか色んな約束をしたことが
夢なんじゃないかと思えてきた…