その先へ～I'd like to approach～ (ページ2)

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変わってないのは貴方もですページ2

好きな人が笑ってるだけで
こんなにも癒されるなんて

櫻井さんの笑顔見れて幸せ！
今日一日頑張って良かった！

でも、さっきから私の事見て
ずっとクスクス笑ってる…
メイク崩れてるのかな？
それとも何か付いてるのかな？

「櫻井本部長？私の顔に、何か付いてます？さっきからずっと、笑われてる気がするんですが…」

『ごめんごめん。いや、さっきも言ったけどさ、昔から変わんないよね。』

「？」

『もしかしてさ、自分じゃ気づいてない？
咲坂、毎日ここでコーヒー飲んで帰るだろ？その時にさ、自販機に向かって「今日も一日お疲れ様でした」って言ってるんだよ。たまにお辞儀付きだし(笑)』

やだ！ウソでしょ！？
声に出してたのか…しかも見られてたのか…
恥ずかしい。

「お恥ずかしい…お見苦しい所を見せてすみません。」

『いやいや！見苦しいなんて思ってないよ。
毎日頑張ってんなぁ～俺も咲坂見習って頑張ろうって思ってるし。』

私を見習ってなんて滅相もない！
私が頑張ってる理由なんて櫻井さんに
少しでも近づけるよう、認めてもらえるようにって邪(よこしま)な気持ちだし…

もちろん、取引先とかお客様の事も考えてるけど…

「そ、そうですか…あっ、櫻井本部長コーヒー買うんですよね、お先にどうぞ。」

『いや、俺はもう帰るから…つかさ、昔みたいに "さん" 付けでいいよ。本部長なんて堅苦しいし。』

「いや、それはさすがに…」

『大丈夫だよ、それに俺の方が恥ずかしいんだよ、咲坂にそう呼ばれるの…それに、あいつ…二宮は今でも“さん”付けで呼んでるぞ(笑)』

「二宮らしいですね。」

『まぁ、咲坂なりに、ちゃんと線引きしてるんだろ？さて～帰るとするか。ひき止めて悪かったな、また明日！』

「お疲れ様でした。また明日。」

櫻井さんの背中を見送って
自販機に向き直る。

「(今日はカフェラテにしよう)」

ピピッ♪

出来上がったカフェラテを取り出し
いつもの定位置、大きな窓のそばで一息つく。

役職が上がっても
櫻井さんは "櫻井さん"のままだった。
変わってないのは櫻井さんの方だよ…

過去に戻りたい。

とは思わないけど、あの頃は今よりも
近いところで一緒に仕事してた、
貴重な時間だったんだな～

「絶対負けない！何がなんでも食らいついて行く！」
って二宮と居酒屋で毎日反省会してたのを思い出した。

「(今度、久々に飲みにでも誘ってみようかな…)」