DOSON (ページ30)

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空港から宿舎に戻ってきて迷わずベッドに倒れ込んで身体を預ける

目を瞑ったままゆっくり深呼吸をして、

嫌な言葉をかけられることなんてよくあることだしうまく受け流すことにも慣れているはずだけど、ここまで直接言葉が届いたことは久しぶりだった

あの後、ジェヒョニオッパがずっと傍にいてくれて他のみんなも優しい言葉をかけて過保護なほど労ってくれて、

気にする必要がないことは分かっている

真に受ける必要がないことも分かっている

それでも右手に残る傷と痛みが自分に向けられた批判を目に見えるものとして残していて、気持ちが深く沈んでいた

　

どれぐらい時間が経ったのだろうか

　

空港で放たれた言葉がまた脳内で再生されようとした瞬間、枕元に伏せていたスマホが震える

"サモエド"の文字を確認してすぐに画面をスワイプする

『ヨボセヨ？』

jn「A、」

『…ジェノヤ？おつかれさま、』

jn「Aもお疲れ様、…大丈夫？」

『…ん、どうして、』

jn「今日大変だったって聞いて、俺、心配で、」

練習後なのか、少し息があがっているジェノの声

ジェノも疲れているだろうに、私のことを気遣ってくれているっていう事実だけで少し救われた気がした

『心配かけてごめんね、大丈夫だよ』

jn「…大丈夫じゃないでしょ」

『…え、』

jn「声震えてる」

自分にもなんてことないと言い聞かせていたはずなのに、ジェノはなんでも見透かしてしまうらしい

jn「今一人でいるの？」

『一応…？
部屋にいて、マクオッパがいるけど仮眠中なの
リビングも誰かはいると思うけど』

jn「Aが嫌じゃなかったら会いたい、
退勤したとこなんだけど迎えに行くからこっちの宿舎来れる？」

『…私も会いたいな、
ドリムの宿舎なら私一人で行くよ？すぐ近くだし』

jn「だーめ、迎えに行くからあと15分待ってて」

こういうときに決まってヒーローのように現れて手を差し伸べてくれるのはジェノな気がする

どこまでも優しくて紳士で大切にしてくれて、傷ついた心を癒やしてくれる存在だと思う

重い身体を起こして、まだ帰ってきてから開けさえしていなかったスーツケースから必要最低限のものをポシェットに詰めて部屋を出た

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