ANY & EVERY＊sakkun＊

12＊sakkun＊ ページ12

暖が帰って来るまでの間、姉ちゃんとたくさん話をした。




俺のスッゲーくだんない話にも、ケタケタ声をあげて笑ってくれて



姉ちゃんが、お笑いが大好きだって教えてくれたから


一緒にスマホで、姉ちゃんのおすすめの芸人さんを観たりして



めっちゃ楽しくて、



俺の"いいなぁ"が、ぐんぐん上昇。



マジで、上昇気流乗っちゃったくらいに、上昇。




暖が帰ってきたのは、俺がここに来てから１時間半後だったんだけど、



その頃には、動画観ながら２人して笑い転げてて



「なに、めっちゃ仲良くなってんじゃん」って暖の言葉が


なんか、妙に嬉しくて




あぁ……これ、俺、姉ちゃんのこと、



たぶん、めっちゃ好きになる。って



ほぼ確信した。





んで……




「あ、暖帰ってきたし、私明日も朝早いから先寝るねぇ」と部屋に戻る彼女に





「お休み！Aちゃん！」と声をかけた。





「お休みー、さっくん！」




気付いてたのか、気付いてないのかは、わからなかったけど、




初めて、"姉ちゃん"じゃなくて、



"Aちゃん"って呼んだ。






………………




……………………




それからも、変わらず俺は、暖んちに遊びに行ってて



……なんなら、暖がまだ帰ってきてない時間に、行くことも増えてた。




Aちゃんと、話したかったから。





「さっくん、いらっしゃい！」




「お邪魔しまーす！」




このやり取りが、すっごく自然なものになって




そっから、これが




「さっくん、おかえり」に変わったのは、確か



さらに３ヶ月後くらいのことだった。





「Aちゃん、この漫画知ってる？」




「知らなーい！少女漫画も読むの？さっくん。」




「うん。これさ、スゲー、キュンキュンすんだよねー！」



「えー、読みたい！」




「じゃあ、これ、置いていくね！」




「え、いいの？」



「うん、Aちゃんに貸してあげようと思って持ってきたから。」




「え、ほんとに！？」



「うん。ほら、この前、"キュン"としたいなぁって、独り言言ってたじゃん。笑」




「え！？やだ！聞いてたの！？」




「うん。笑

ごめん、めっちゃ聞いてた。笑」





暖と遊んでても、そんな彼女の独り言、


俺の耳にはしっかり入ってきちゃうんだ。




それくらい、この頃には


しっかり、Aちゃんに、恋してた。

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