#16 (松坂桃李) ページ18
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ーカランコロン.
『いらっしゃいませ!』
昨日のことを思い出すと、
顔から火が出しそうなほど恥ずかしいけれど、
いまはそんな邪念を振り払い、仕事に没頭する。
いかんいかん。思い出すな。
正気になれ!A!
べちんっと両手で挟むように自分の頬を叩く。
仕事仕事。集中集中。
14:30までのランチは終了し、
お客さんもちらほらになってきた。
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ーカランコロン.
『いらっしゃいませ!』
「A、久しぶり。」
『……えっと、』
帽子を深くかぶっていてよく顔が見えない。
でもきっと知り合いなのかな。
低くて優しい声。
この声どっかで…。
「あはは。ごめん、不審者みたいだよね。」
『とっ、…!』
深くかぶっていた帽子のツバを軽くあげ、
マスクを外す彼の名を呼ぶところで
慌てて手で口を抑える。
危ない。
他にお客様がいるのに名を出すところだった。
桃李「ごめんね、急に来ちゃって。
仕事で近く通ったからさ、
久しぶりにAのコーヒー飲みたくなっちゃった」
『いえ、そんなそんな。
とっても嬉しくてびっくりしちゃいました(笑)』
カウンターに座った彼と話しながら
焙煎された淹れたてのコーヒーをテーブルに置く。
それを彼は香りを嗅いでから、
ゆっくり味わって飲んでくれる。
「やっぱAが淹れてくれたコーヒーがいちばん美味しい。」
『嬉しいです、ありがとうございます』
コーヒー豆や淹れ方、温度など、
こだわってるから本当に嬉しい。
「そういえばね、」
なんて近況を教えてくれた桃李くん。
穏やかで、優しくゆっくりした話し方で、
大人の余裕がある、素敵な人。
微笑む彼にはなんだかミステリアスな雰囲気があって、掴めないけれど一緒にいて落ち着くひと。
忙しい1日であるのには変わらなかったけれど、
なんだかいつもより癒された一日でした。
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すず - ほんとに、おもしろいです!早く続きが読みたい!!山崎賢人君も書いて欲しいです! (2018年3月12日 21時) (レス) id: 67a8b14e71 (このIDを非表示/違反報告)
すだかん - このお話すっっばらしいです! きゅんきゅんですっ 菅田将暉君をお願いします! これからもたくさんお話書いてください!楽しみに待ってます! (2017年9月19日 21時) (レス) id: c9c49b1c9f (このIDを非表示/違反報告)
みい(プロフ) - たむさん» 瀬戸くんのお話読みました!すっごい素敵でした〜〜♪また機会があったら書いて頂けると嬉しいです! (2017年9月18日 23時) (レス) id: 4a9e46f435 (このIDを非表示/違反報告)
たむ(プロフ) - ゆきさん» ありがとうございます♪ 続編の方で書かせていただきます!わたしもこんなところがあったら行ってみたいです(笑) (2017年8月30日 18時) (レス) id: 6ad8a21525 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - おもしくてもっと読みたいです!映画るろうに剣心Ver.も出来ればみたいです!こんな所があったらいいなーと思いました(*´艸`) (2017年8月29日 13時) (レス) id: 7e2effa0f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たむ | 作成日時:2017年8月8日 19時