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ぐったりと力が抜けた身体を抱き上げ、空いている処置室を探す。
舘『ごめんね、さっくんちょっと動くよ』
佐『っけほけほ、……ひゅ、けほっけほ、』
喘息発作がかなり酷い。
ここまでしっかりと症状が出ているのを見る限り、もしかしたら吸入器を持っていないのかもしれない。
舘『さっくん、ベッドごろんするよ。胸の音聞かせてねー』
PHSで看護師を呼び、来るまでの間に心音と呼吸音のチェック。
手のひらで温めた聴診器のチェストピースを小さな胸に当てる。
少し早めの心拍と、苦しそうな呼吸音が耳につく。
到着した看護師が持ってきたカートから点滴針を取り、さっくんの血管を探る。
幼いさっくんの腕はあまりに細くて、手首からではとても無理そう。
舘『ごめんね、ちょっとチクッとするよ』
少し痛みは強いだろうけど、仕方なく手背でルートを取ることにした。
針を刺した瞬間にぴくっと反応する身体。
熱によるめまいが落ち着いてきたのか、薄く開いたまぶたの隙間から針をじっと見つめるさっくん。
舘『さっくんお水飲む？ ん、気をつけてね』
俺は小児科医師じゃないから、こんなに小さな子の処置はほとんど経験がない。
ゆっくりとした口調を意識してさっくんに話しかける。
佐『なん、で……？』
苦しそうな呼吸の間で、さっくんが小さくつぶやく。
佐『さっくん注射しないよ、？ げんきだもん、げんき、』
舘『っと、身体起こさないで？ いい子でごろんしてようね』
さっきからずっと見ているけど、違和感は募る一方で。
1回もしんどいと言わないし、泣いたりぐずったりするようすもない。
よほど我慢強いのか、自分の体調がおかしいことに気づいていないのか。
またはその両方かもしれないけど。
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九花(プロフ) - 多胡春那さん» コメントありがとうございます。次のお話につなげられそうなので、少し考えてみますね！ (2021年5月26日 21時) (
レス) id: 0cc2e8f816 (このIDを非表示/違反報告)
多胡春那(プロフ) - 過去の2人が出会った時を思い出してるとこでもう少し先も知りたいです！ (2021年5月21日 0時) (レス) id: a4579094f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：九花
| 作成日時：2021年5月20日 22時
