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深「あれ、どうしたの。まだ授業中じゃない?」
保健室に着いたら、眼鏡をかけたふっか先生がパソコンから顔を上げた。
渡「お昼食べにきた」
深「あのねぇー……、」
あきれたようにため息をつく先生だけど、その目には疑問が浮かんでいる。
いくら翔太くんがサボりがちだと言っても、こんな時間に保健室に来ることってないはずで。
しかも、今日は佐久間くんと俺も一緒。
何かがあったって思うのも当然だ。
ぱたぱたと上履きを鳴らしながら翔太くんの後ろをすり抜けた佐久間くんが、ぽすっとソファに腰を下ろす。
そのまま背もたれに頭まで預けてしまったのを見て、ふっか先生の眉がきゅっと下がる。
やっぱり、佐久間くんの様子はどこかおかしい。
深「暑いけど、3人ともちゃんと水飲んでる?」
いすから立ち上がったふっか先生は、保健室の端っこに歩いていく。
振り返ったふっか先生の手に握られていたのは、未開封のスポーツドリンクだった。
佐「にゃ、そーいえば飲み切っちゃったんだっけ」
ソファに身体を預けたまま、佐久間くんが思い出したように小さくつぶやく。
深「水筒出して。入れてあげるから」
返事を待たずに佐久間くんのお弁当袋から水筒を取り出した先生は、水道で中を軽くすすいでからスポドリを注いでいく。
佐「え、いいの?」
深「みんなには秘密ね。来たら入れてあげるから、その代わりちゃんと水分取ること」
やっぱり、佐久間くんに違和感があったのは体調がよくなかったからなんだ。
深「ちょっと頭痛いでしょ、今」
顔をしかめたふっか先生が、水筒を手渡すついでに佐久間くんの目をのぞき込む。
決まり悪そうにさっと目をそらした佐久間くんは、すねたように口をとがらせた。
佐「……夏はいっつもこうだもん」
深「えー、マジで言ってる?」
苦笑したふっか先生が、手を伸ばして佐久間くんのおでこに触れる。
深「熱くはないね。……でーも、頭痛くなるのは熱中症の前兆だから。
水分取って、それでもしんどかったらちゃんとおいでね」
今日は体育もなかったし、ただ教室で授業を受けていただけ。
ちゃんとクーラーも入っていた。
それでも頻繁に熱中症を起こしてしまうのは、たぶん佐久間くんの身体があまり丈夫じゃないせいなんだろう。
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九花(プロフ) - 多胡春那さん» コメントありがとうございます。次のお話につなげられそうなので、少し考えてみますね! (2021年5月26日 21時) (レス) id: 0cc2e8f816 (このIDを非表示/違反報告)
多胡春那(プロフ) - 過去の2人が出会った時を思い出してるとこでもう少し先も知りたいです! (2021年5月21日 0時) (レス) id: a4579094f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九花 | 作成日時:2021年5月20日 22時