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深「はい、保健室深澤です」

デスクの端に置いてあったPHSのランプがオレンジ色に光ったのを見て、さっと手を伸ばして耳に当てる。




阿「1年1組ですが、」
無線の主は阿部ちゃんで、少し堅いその声に耳を澄ませる。


阿「体調不良の子と保健委員が、今そちら向かってます」




さいわい保健室には誰もいないから、受け入れの準備は整っている。








無線を切る前に一つだけ聞いておきたくて、阿部ちゃんに声をかける。




深「もしかしてだけど、佐久間?」
阿「……そう」




無線の向こうで阿部ちゃんがため息をつく。



1組って聞いたときから何となく嫌な予感はしていたけど、やっぱりそうか。
阿部ちゃんの声が堅くなるのもうなずける。






深「ん、了解。対応します」




今度こそPHSを置き、ちらりと時計を確認する。

9時40分。2時間目が始まって十数分だ。







1年のフロアから保健室までの距離なら、そろそろ2人が着いてもおかしくないだろう。



作業をしていたパソコンを閉じたところで、ゆっくりと保健室の引き戸が開けられた。









ラ「頭痛いのと、めまいするみたい」
深「ありがとうね。佐久間大丈夫? ちょっと横になろうか」



ラウールから佐久間を受け取り、ひとまずいつものソファに横たわらせる。


シャツの背中の部分は汗でびっしょりと濡れていて、普段はふわふわとしている前髪もおでこに張り付いている。





症状は頭痛とめまいか。

熱がないとすれば、考えやすいのはたとえば貧血とか。


でも、顔色が特別青白いって感じはしないんだよな。





深「今日ラウたちのクラスって体育あったっけ?」



ふと思い出してラウールの方を振り返る。






ラ「うん。1時間目に」




大量の汗とぐったりとだるそうな佐久間の様子。


今朝、更衣室で阿部ちゃんが今日は暑くなるって言っていたのを思い出して、思わず顔をしかめる。

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九花(プロフ) - 多胡春那さん» コメントありがとうございます。次のお話につなげられそうなので、少し考えてみますね! (2021年5月26日 21時) (レス) id: 0cc2e8f816 (このIDを非表示/違反報告)
多胡春那(プロフ) - 過去の2人が出会った時を思い出してるとこでもう少し先も知りたいです! (2021年5月21日 0時) (レス) id: a4579094f8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:九花 | 作成日時:2021年5月20日 22時

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