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▶ side: dt
佐「にゃ、それで思い出したんだけどぉ」
佐久間がきゅるきゅるの黒目で俺を上目遣いに見上げる。
佐久間がお願い事をするときの無意識の行動だということは、もう何年も前に学んでいた。
佐「この後あべちゃん先生来てくれるんだけど、これ外せたりしない……？」
佐久間が、点滴の刺さった自分の腕を布団から持ち上げる。
舘「はぁ？ あのねぇ……」
もうほんっとうにこの子は……。
あきれて思わず天を仰ぐ。
舘「昨日の夜中、ナースコールも押さずに喘息発作起こしてるところを看護師さんに見つかって、最終的に点滴追加して経鼻カニューレまでつけることになったのはどこの誰ですか」
む、と押し黙る佐久間。
俺だって意地悪したいわけじゃなくて、本当にこの子にはもう少し頼るとか休むってことを覚えてほしいから言ってるんだけど。
舘「せっかくカニューレ外せたんだから、もう少し安静にしてて」
点滴外すとか言語道断。
自分の身体のこと分かってるのか……？
佐「でもでも、」
頬をふくらませた佐久間が話題を変えようとする。
今は少ししんどさも薄まったかもしれないけど、それは薬のおかげなんだから。
医者としてはもうしばらく寝ていてほしいんだけど。
佐「こうしてるとさぁ、昔のこと思い出すよね〜」
舘「昔ねぇ……」
佐久間とは長いつきあいだから、一言に昔と言っても思い出はたくさんある。
中でもやっぱり鮮烈なのは、初めて会ったときのことかな。
佐久間があんな風に無理をしなくても、自分から頼れるような居場所をつくらなきゃ、って医者の卵ながら心に誓った出来事だったから。
あれは佐久間がまだ自分のことを「さっくん」と呼んでいた、今から7年前のこと。
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九花(プロフ) - 多胡春那さん» コメントありがとうございます。次のお話につなげられそうなので、少し考えてみますね！ (2021年5月26日 21時) (
レス) id: 0cc2e8f816 (このIDを非表示/違反報告)
多胡春那(プロフ) - 過去の2人が出会った時を思い出してるとこでもう少し先も知りたいです！ (2021年5月21日 0時) (レス) id: a4579094f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：九花
| 作成日時：2021年5月20日 22時
