切り込み隊長、体調不良であります！ ［後編］

53 kj ページ14

▶side: kj

借り物競走で汗をかいてるラウールが心配で。



大丈夫と言うけど、またムリしたら熱が上がるからバスに戻ることにした。





ラ「ね、康二くん……？」

向「ん？……しんどくなってきた？
あんだけ動いたからなぁ」


ラ「違うよぉ、康二くん過保護。
心配してくれるのはうれしいけどね。

ただ、……ちょっと佐久間くんのことが心配で」





昨日から様子がおかしいと感じる場面が何度かあったそうで。


だけどその度、すぐにいつものはつらつとした笑顔を見せるから、気のせいかと思い直していたらしい。




ラ「けどっ、……今朝佐久間くん打ち合わせ遅刻したって聞いて。
そんなの絶対おかしいよっ、だって寝起きドッキリで早く起きてたんだから寝坊するわけないもん」





脳内で今朝のことを思い出す。


集合時間からしばらく遅れてきて、反省した様子やった。



まだ浴衣を着とって、……ちょっとほっぺたも桃色に染まってた。

まさかそれが熱のせいやった……？





窓の外を見てみるけど、木々の影になってさっくんの姿は見えない。



代わりにめめたちがバスに戻ってくるのが分かった。





渡「＿＿ねぇ、さすがに佐久間限界じゃねぇ？」
舘「大丈夫、今ちゃんと照たちと話してるから」

目「結構フラついてましたね……、座席倒しときます」




なにやら話しながら乗り込んできた3人が、俺をラウを見てはっとした顔をした。






泣きそうに目を見開いたラウールが、3人に迫る。



ラ「ねぇ、佐久間くんやっぱり体調悪いんでしょ？
大丈夫なの？」




大きくため息をついためめが、ラウの大きな体を押し返していすに座らせる。



目「お前は寝てろ。
まだ本調子じゃないんだから」

ラ「やだ！
……っだって、佐久間くんが言い出せなかったのは俺のせいでしょ？
ちゃんと謝らなきゃ、」


渡「ダメ。
お前が謝れば謝るほど、佐久間は自分を責める」







やっぱり、……さっくんが調子悪いっていうのは本当やったんや。





全然気づかんかった。



いつも通り笑って、いつも以上に撮影を盛り上げて、体調不良なんて1ミリも感じさせんかった。





舘「佐久間には佐久間のプライドがある。
いつも元気な自分がこの旅行で元気じゃないだなんて、納得できなかったんだ。

……だから、ラウールのせいじゃない。
完璧に、自分の不調を言い出さなかった佐久間本人の責任」





舘さんがなぐさめてくれたけど、ラウは唇を噛んでうつむいてしまった。

54 kj→←52 fk

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す