切り込み隊長、体調不良であります！ ［前編］

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どれぐらい寝たのかは分からない。



目を開けると、部屋の輪郭が薄ぼんやりと闇に溶けていた。





頭を内側から叩かれているような痛みに、耐えきれずに上半身を起こす。


ぐわりとゆがんだ視界は、明らかに熱が上がったことを示していた。

さすがに気のせい、なんてごまかせない。






佐「……っはぁ」

胸元をさすりながら、思わずため息をこぼす。



今日の昼間＿＿それとも「昨日」の昼間と言うべきか＿＿にバスの中で感じた、あの気分の悪さがよみがえっていた。




身体の節々が痛い。






両隣に敷かれた布団では、ラウと翔太が穏やかな寝息を立てて眠っている。



今起こすなんていう選択肢はないけど、明日解熱剤を飲んでもこの調子だったら、さすがに耐えきれる気がしない。






昨日ロケに出発する前よりもはるかにキツくて、……ってことは38度も超えてるのかな。









佐「っっ、」


唐突に胸の辺りが熱くなって、胃から内容物がせり上がってくる感覚。




のどの奥にツンとした酸っぱさを感じて、生理的な涙がじわりとにじむ。









やばい、吐いちゃうかも。






自覚するとよけいに気分が悪くなってきて、手遅れにならないうちにと布団を出た。






立ち上がったときに思いの外ふらついた身体は、限界が近いらしく。


やっとのことでユニットバスにたどり着くと、電気を付けて後ろ手にドアを閉めた。

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