バレンタインデー<a b> ページ2
『うーん…』
２月某日、夜中。
ベッドの中でスマホをいじりながら私は悩んでいた。
検索ワードは「バレンタイン 本命」。
大人の彼氏に渡すチョコ。
おしゃれで食べ物にも詳しい彼氏に。
しかもモテモテの彼氏に。
『分かんない…。』
気が重くて、その日はそのまま寝落ちしてしまった。
次の日。彼氏の家でも私は悩んでいた。
ソファーの隣には難しそうな本を読む彼氏。勉強しているときは気付かれないと知っているので彼をじーっと見つめる。
彼はとにかくモテる。きっと当日は大量のチョコをもらうはず。そして仕事柄、たくさんおしゃれでおいしいお店に行っているので、その辺の知識も他の人よりある。
そんな彼氏に渡すべきチョコってどんなのだろう。
あ「どうしたの。」
思わず出たため息は聞こえていたらしい。
『…んーん。別に。……ね、あべくんどんなお菓子が好き？』
あ「えぇお菓子？…結構何でも食べるよ俺は。」
彼は顔を本に向け直しながら答える。
賢い彼がこの質問だけで何のことか分かってしまったことに、私は気づかない。
あ「…最近甘いのが好きかなぁ。」
２月１４日。バレンタインデー。
彼の家に来た私はそわそわと落ち着かなかった。少しの不安もありながら彼に袋を差し出す。
あ「ありがとう、開けていい？」
『うん…』
彼が袋のなかを覗きこむ瞬間、ドキドキはピークに達する。
「お、カップケーキ？おいしそう！」
私が作ったのはチョコカップケーキ。笑顔になってくれてやっと安心する。
『そう！あのね…あべくん色んなチョコもらったと思うし、いっぱいおしゃれなのも見てるから、私どうしよっかなって思ったんだけど…』
「うん？」
『やっぱり想いを伝えるなら手作りかなぁって…』
「うん、嬉しい。一番嬉しい！」
笑いながら彼がそう言ってくれて、間違ってなかったんだな、と思う。
あ「お、メッセージも入ってる。」
『あ…それ恥ずかしいからあとで読んで！』
「なんで笑、今読むよ。」
「…A、可愛い。」
『…え……？』
聞き間違えたのかと思って彼の顔を見ると、なにもなかったかのようにメッセージカードを読み始めていた。
…もしかして、すごく喜んでくれてるのかな。これで成功だったのかな…？
また俯いて考えはじめて、
抱き寄せられて我に返った時には、もう、
キスされていた。
*ﾟ｡*ﾟ｡*ﾟ｡*ﾟ｡*ﾟ｡*ﾟ｡*ﾟ｡*
長くなりました。
aべくんはあざといですからね！！！！！
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作者名：かぷかぷ | 作成日時：2020年3月27日 3時
