【す/の】君以上の人には【短編集】 (ページ7)

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ホワイトデー<iw mt>2 ページ7

…バレンタインにチョコレートをくれた子と、デートをすることになった。
彼の名前はひかるくん。
チョコと一緒に連絡先も渡してきた彼の、名前以外は何も知らない。

でもチョコを渡してきたときもラインのやり取りも悪い印象は無かった。それに、あれから駅で合うとあいさつをするようになったけど彼の笑顔は好印象。
以前から私も彼の存在は認識していたのもあって、デートすることに抵抗は無かった。…ドキドキはしているけど。

待ち合わせ場所にいる彼を見つけて小走りで駆け寄る。
彼は難しい顔をしているように見えたが、私に気がつくと安心したように笑った。

『ごめんなさいっちょっと迷っちゃって…』

「いや全然…来てくれて良かった、です。」

『あ、敬語じゃなくても…ひかるくんって何歳なんですか？』

本当に名前以外知らなかった私たちは、その日お互いの年齢や大学、趣味まで色んなことを話した。

「今日はありがとう。すごく楽しかった！」

とラインを送ったら、

『こちらこそ。また会える？』

と返ってきた。

そうして一ヶ月のうちに私たちは何度かデートをした。

『ね、次…』

「ん？」

何度目かのデートの別れ際、ひかるくんの袖を掴みながら言う。

『次…ホワイトデーに会いたいな……あの時のお返ししたいから。』

…その時に私の秘密も打ち明けれたらいいな、と思いながら。