そばにいてね。【2】 (ページ43)

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収録は順調で、特に問題もなく進んでいく。

勉強漬けで睡眠時間を削っていた自覚はあるから、途中で眠くならないようにだけ願っていた。

眠くなることはなかったんだけど、いつもよりも疲れるのが早くて。心做しか、途中から頭も痛くなってきたような。

でも、終わるまでは頑張らないと。そう思って意識がそっちに向かないように、頑張ったつもり。

カットが掛かれば気が抜けたのか、意識的に忘れていた頭痛が戻ってきて。歩く度、痛みが増す。

「阿部ちゃん？」

「……ん、なに？」

「お疲れ様……大丈夫？」

「え、あ、うん」

心配そうに顔を覗き込んでくるめめに、反射で大丈夫って答えちゃって。

なにやってんだろ。全然大丈夫じゃないし、今すぐ横になりたいのに。

「ごめん、大丈夫、って聞いたのが間違ってた。歩ける？楽屋まで」

「……歩く」

「ゆっくり戻ろう」

全部、気づいてる。

歩幅とスピードを合わせてくれて、楽屋につけば吸い込まれるようにソファに座った。

「楽屋、しばらく空くみたいだから、休んでく？」

「……ん」

痛くて、いたくて、眉間にぎゅっと皺が寄るのが自分でもわかった。

薬、多分、カバンに入ってたよな。でも何か食べなきゃ飲めないし。その前に着替えなきゃいけないけど今動けないな、って。

頭は回るのに、それを伝える余裕はなくて、ただ目を瞑って痛みに耐えるだけ。