そばにいてね。【2】 (ページ28)

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楽屋に戻れば次の仕事のためにもう帰っているメンバーも、荷物を纏めているメンバーもいる。座りたいけど、今座ったら立てなくなっちゃうかな、なんて考えたりして。

「あべちゃん？一旦座る？」

「え？ああ…何？」

ほんやりしてて聞いていなかった。
聞き返せば、返事の代わりに額に伸びてくる手。

「……え？」

「うん、やっぱそうだよね」

「えっ、何、」

「阿部ちゃん熱あるの気づいてたよ。すぐ声かけなくてごめんね？」

さくまに言われるがままソファに座って背もたれに体重を預ける。

「……いつから？朝はわかんなかったけど…多分朝からだよね、この感じは」

「……ん、昨日から…1日じゃ、治らなくて」

「ありゃ、それはしんどかったっしょ。よく頑張ったね」

さくまに頭を撫でられるのも、悪い気はしない。

「阿部ちゃん、いつもこの時期に体調崩すでしょ？今年はまだだったなと思ってね」

「……覚えてんだ、それ」

「そうだよ？」

何年一緒にいると思ってんの、って言うからそれもそうだなと思わず頬が緩む。

「俺今日阿部ちゃんち行く」

「いいよ、申し訳ないし」

「でも毎年高熱になるでしょ？」

正しいことを言われてしまえばそれ以上の反論はできない。今日はもう、思いっきり頼ってしまおうか。

やっぱり来て欲しいとお願いしてみたらさくまの目がきゅっと細くなって、柔らかい笑顔が向けられた。