そばにいてね。【2】 (ページ3)

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鍵を開けてくれて、ソファにおろしてもらう。

「ごめん、仕事終わりでつかれてるのに」

「気にしなくていいよ、俺今日泊まってってもいい？」

「……ふっかがいいなら」

「サンキュ」

テーブルの上に置きっぱなしになっていた体温計の電源をつけられる。朝測った数値を見られてちょっと眉間にしわ寄せたの、見えてるよ。

測ってみれば38度近く。そりゃしんどいよなあと思ってたら横から数値を覗き込んできたふっかが更に苦い顔した。

「…ふっ、顔やば、」

「いや、だってこの数字やばいっしょ」

「もうちょいあがるかなあ」

「寒い？」

「……ん」

「マジか。とりあえずベッド行こ」

当たり前のように背中を向けてくれるから、無言で体を預ける。押し入れから毛布を出してもらって、ベッドの上に置いてあるふっかが前にくれたシャチのぬいぐるみをぎゅって抱きしめたら、ちょっと寒さが和らいだ気がした。

「さっくん、それほんとに使ってくれてんだ」

「……これ？抱き心地さいこーよ」

「なら良かった。ちょっと飲み物とか取ってくるね」

部屋を出ていく丸まった背中を目で追う。

1人きりの部屋。いつもはなんとも思わないのに、なんだか少しだけ心細くて。
気づいてしまった感情がこれ以上膨らまないよう、目を閉じた。