そばにいてね。【2】

nb×dt ページ13

ロケバスでバス酔いなんて、よくあること。それをわかっていながら降車口から遠い席を選んだ俺が間違ってた。


「大丈夫か？」

「ふ、っか…ちょっと、」

「吐きそ？…あー、阿部ちゃん、なんか袋ない？」

「はいこれ」

「さんきゅー。ひかる、ゆっくり呼吸しような」


照が酔っちゃって。ちょい吐きそう、らしい。後ろで交わされている会話はなるべく聞かないようにしようとしても狭い車内じゃそれは難しいし。だからと言ってこんなときに耳にイヤホン入れるのとかは違うじゃん。

だから、照のことは近くの席のふっかとか阿部ちゃんに任せてる感じ。俺はなるべく意識しないようにってことを意識して。


「……っ、」

「ひかる、大丈夫だから力抜いて」


でも、ときどき照が息を詰まらせるような声がどうしても聞こえてしまう。俺昔っから人が吐きそうになってるのとか、吐いてるのとか、なんなら嘔吐く声すらダメで。

つられちゃうから聞かないようにしたい、し、できれば外に出たいと思うんだけど。バス、走行中なんだよね。照のことはもちろん心配だけど、俺がつられちゃどうしようもないし。

とりあえず窓だけは危なくない程度にめいっぱい開けて、つられないように頑張るしかない。


「すみません、停められるところで１回停めてもらってもいいですか？」


苦しそうな照を見てか、だてさんが運転手の方にそうお願いしてたのが聞こえた。大丈夫だったらしくてもう少ししたら一時停車をするみたいだ。

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