そばにいてね。 (ページ24)

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楽屋に戻るとソファに座らされて、知らない間に俺の荷物、全部纏められてた。送るよって照の車までまたおぶられて、助手席に座らせてもらった。

後部座席に座らせようとしてくれてたみたいなんだけど、後ろでひとりってなんだか心細くて。照の顔、見えないし。

そういえば廊下、空調効きすぎって思ってたけど。ここもなんか、寒いなあ。

「ひかる…」

「ん？なに？」

「さみーんだけど、…なんか、ない？…っ、げほっ…」

「あー…寒いか、これ使っていいよ」

後部座席から取ってきてくれたブランケットを体全体を覆うようにして掛ければ、ほんの少しマシになった気がする。上着着てるのになんで寒いんだろ。

「ふっか、俺んちとふっかんちどっちがいい？」

「……え、なに」

「ふっか熱あんの、さすがに1人にできないし、俺も心配だから」

熱、あるんだ。だからくらくらするし、寒いのか、ってここでようやく気がついた。
もう、そこまで頭まわんないや。

「……ひかるんちが、いい」

申し訳ないってわかってるけど、今ひとりになるのは嫌だなって思ってたら、するっと言葉に出ちゃった。

「俺んちね、おっけー」

「…ふふ、…っ、けほっ、」

「え、なんで笑ってんの」

「べつに」

照がちょっと嬉しそうに笑ってるのが可愛かっただけだよ。言わないけどね。

「寝てていいよ、着いたら声掛けるから」

音楽の音量を小さめにしてるのも、いつもよりゆっくりめな運転なのも、全部わかってる。けど、瞼がめちゃくちゃ重くて。

ありがとうって言うのは、もう少し後にしよう。俺は、心地いい揺れの中で目を閉じた。