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29-私の馬鹿 ページ29

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「何でこっち見ねェ」

「…離してください…」

「それに何だよその話し方。知り合いじゃねェって、何だ」





精一杯の力で実弥の胸を押した。
びくともしない体。でも私が拒否反応を示したせいで、実弥の顔が険しくなる。





「何をんなに拗ねてんだよ。昨日の事なら謝る」

「違う…っそんなんじゃない、」

「大人しく誤解くらい解かせろ」

「そんなのいらない、離して…!」





いやいやともがく私に機嫌を損ねてか、異変を感じてか、とにかく実弥は私の両肩から手を離した。

すぐさま距離を取って顔を背ける。
その仕草で、更に相手の不機嫌な雰囲気は増した。





「何をそんなに意固地になってる? 言わねェと分かんねぇだろ」





だったら言えば良いの?
話したってどうにもならないのに。

睨み上げた先の彼は面倒臭そうに私を見下ろしていて。





「……言ったら、実弥は私を助けてくれる?」

「ああ、助ける」

「でも、それは」





「私以外の人にも、そうなんだよね」

意地悪だな。私って。
でもそう言わないと私がどうにかなっちゃいそう。


言葉を詰まらせた彼に私はどこか期待していたのかもしれない。





「ッ…俺は」

「良いのっ、ごめん。私がわがままなんだよね。
……でも、私は、……私はね」

「A」

「職業とか年齢とか関係無しに、実弥とお話したかっただけなの」





これ以上話してしまうと、ママと約束したのに、破ることになってしまう。
"関わるな"だから、実際にはもう破ってるけど。





「A、俺は」

「実弥がどれだけ優しくしてくれても……実弥の彼女でも何でもない」

「っ、」

「私の事何とも思ってないでしょ?」





もうこれ以上私に優しくしないで。
でもそれを口にすると今にも自分が崩れてしまいそうで、やめた。


残り僅かな駅への道を、振り返らず駆け足する。
改札に入る時に振り向いたけど、警官の姿は見当たらなかった。





「……何、期待してるんだ。私のバカ」





実弥が警察官じゃなかったら、普通の大学生だったら。


……私のママとパパが、平凡な家庭で私を育ててくれてたなら。

きっとパパは浮気なんてしなかったし、私は塾になんて行かず、ママに学校であった事を話して、友達とも沢山遊びに行けて、恋愛だって出来たのに。




ママに反対されず、実弥にめいっぱい好きだと言えたのに。





「っ……うぅ、」





私の小さな呻き声は電車の到着のお陰で、誰も気付かなかった。





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k - おそらまめさあああああああん、、(4回目)いや、あの最高でした。胸きゅんってこういうことを言うのですね、、やはり実弥のかっこよさは最高ということですね。(?) (6月15日 23時) (レス) @page46 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
ha0824du(プロフ) - 赤の他人で恐縮ですが言わせてもらうと文才すぎやろ〜才能爆発やん!の二言です。ありがとうございます。はい。 (2022年10月6日 22時) (レス) @page46 id: 0233a38cc7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 39ページ 舌を見ると の 舌 は 下 ではないでしょうか? (2021年6月4日 13時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - Lunaさん» Luna様、最後までご愛読ありがとうございました!最後は少し駆け足になってしまいましたが、胸きゅんお届けできて嬉しいです(^^)かっこいい実弥さんは永久不滅です! (2021年5月29日 1時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - はじめまして。胸きゅんの素敵なお話ありがとうございました。実弥さんかっこよすぎましたっ!! (2021年5月28日 16時) (レス) id: acb6885805 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年10月22日 21時

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