好きだった人【黒尾鉄朗】 (ページ6)

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『あ、バレーしてたよ。』

菅原「えそうなの。」

そう、彼は中学校はバレー部。人数は少なかったけど、彼を中心にチームがまとまっていてそれなりには充実していたんじゃないかと思う。

菅原「やっぱりAの引越しが原因？｣

『、、だと思うじゃん？笑』

私は中学3年生で引越しが決まり、東京から宮城に来た。

その時に彼とお別れした。

当時の私は

『遠距離でも大丈夫、気持ちがあるから私たちは乗り越えられる』

そう信じて疑わなかった。

けど

彼から呼び出されたある日。
それは私たちの1年半記念日。そして引越し1週間前まで迫っていた日だった。

黒尾「なぁA、おれAと付き合えて幸せだった。｣

『私も幸せだよ？これからもよろしくね』

私が不思議そうに鉄朗に口を開いた時、彼は少しうつむいた。

『何したの鉄朗、大丈夫？』

いつもと違う彼に違和感を覚え、具合が悪いのかと心配する。

黒尾「________別れよう俺達。」

『え？』

時が止まった。嫌だけど、本当は忘れたいけど、

今でも彼の発した言葉、声、情景。全て鮮明に覚えてる。

『なんでよ、私が宮城に行くから？そんなの心配しなくていいんだよ。私はずっと鉄朗が好きだよ？』

お願い、別れるなんて言わないで。

そんな思いで彼に掛け合う。

けど彼はもう既に決心していたみたいで。

黒尾「俺、他に好きな子がいるんだよ。｣

『っ！！！』

信じたくなかった。ずっと私たちならやっていける、離れていても大丈夫と思っていた相手に既に新しい好きな人がいた。私じゃない誰かを好きになっていた。

『、いつから？』

黒尾「少し前に告られて。彼女じゃなくてもいいから意識して欲しいって言われて。本当にごめん。」

彼はモテるからしょっちゅう告られてた。もちろんそれは知っていて、彼を好きだし彼も私のことを好きだって信じていたから、告られた時は何も言及はしていなかった。

その子に告白をされて、猛アタックされるようになって少し見る目が変わったのだという。

悲しい

寂しい

辛い

そんな気持ちばかり交差している。

黒尾「本当にごめん。」

その子と付き合うの

そんな事当時の私に言える勇気はさらさらなく

私は無言で溢れる涙を抑えようとするのに必死だった。

でもね
なんで鉄朗。その子と幸せになるために私を振ったのに。

どうしてそんなに、辛そうな顔で私を見るの？