甘党様との恋 【不死川実弥】

〈拾陸〉 ページ16

.






「冷えてきたなｧ､戻るか」





不死川さんは刀をしまう







.







「俺の服、似合ってんじゃねェかァ」




少し小馬鹿にしたように笑う






「ちょっと、笑ってるじゃないですか！」







「ﾊﾊｯ、悪ィな



ブカブカの俺の服着てるのが愛おしくなっちまったｧ」









.









「不死川さんこそっ、たまにそういう恥ずかしいこと言うの、反則です...//」






私はさっき不死川さんに言われたみたいに言い返してみる








.








「茹でたこみてェだなｧ」




赤くなった私の顔を見てそう言う









.









.









少しの沈黙の後不死川さんは急に真面目な顔をし







「俺が居ない間、今まで通り絶対に夜出歩くなｧ


あと、A専属の隠を付けてもらった、何かある前に異変、違和感を感じたらすぐ隠に言え」







「え、そんなっ、隠の方は忙しいですし、申し訳ないです！」









.








「申し訳なくねェ！ ......お願いだ





もう、大切な人を失いたくねェんだｧ...」








少し震えた声で、私を抱き寄せる









.








.









.








きっと、不死川さんは大切な人を鬼によって奪われたんだ。




前に隠の方から ''鬼殺隊の方は、特に柱の方は、鬼によって沢山の悲しい思い、辛い思いをしてきた方''と仰っていた








.










.









「分かりました。ありがとうございます。



私も、本当に不死川さんが大切なので、お身体には気をつけて頑張って下さいね。



帰ってきて、また、隊服作らせて下さい」








私は微笑みそう言った









.









.









.









「んっ、」





不死川さんの髪が目にかかる









.









.









「ありがとうなァ...」









.









.






月明かりの下で



触れるだけの接吻をした

〈拾漆〉→←〈拾伍〉

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す