SnowHouse

＃４３ ページ43

side 樹






カーテンコールが始まった瞬間、









樹「お姉さん、ごめんね」

『え？あ、ちょ！』









マンズ兄さんの頼みで

隣のお姉さんを無理やり連れ出した









『ちょ、田中さ…！』

樹「ごめん、先輩の頼みだから」









警備の人にも話はつけてあるから

どんどん楽屋口に向かって進んでいく





と、突然彼女が立ち止まって抵抗し始めた








樹「なに、行きたくない？」

『……嫌です、』

樹「なんで、あいつらはお姉さんに会いたが…」

『わたしはみんなに会っちゃいけないんです！！』

樹「……なんで？」

『わたしはみんなに迷惑をかけたんです。社長にも会うなと言われてます。なのになんで…』









彼女は力なくその場に座り込んだ

肩は震えてて、泣いてるんだと察する









樹「…じゃあ、なんでここに来たわけ」

『……』

樹「俺は何があったのか知らないし、なんで社長に会うなって言われたのかも知らない」

『だったら！』

樹「でもさ。それでもここに来たのってお姉さんも兄さん達に会いたいからじゃねえの？」

『……！！』

樹「兄さんすげえ必死だったよ。まずはそれに答えてあげないと、社長の気持ちも、止まった時間も動かせないんじゃね？」









俺を睨んでいた目はだんだん和らいで

彼女の目に溜まった涙がひとつこぼれ落ちた









樹「俺はお姉さん送り届けたら帰るけど。ちゃんと話、しなきゃダメだからね？」

『……はい。ありがとうございました』








立ち上がった彼女を支えて、

まだ誰もいない兄さんの楽屋に送り届けた







一応仲のいいしょっぴーにだけLINEをして

生意気なこと言ったわ〜って反省しながら帰路についた

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