【Ryohei.A】実は彼女がいるらしい

8.はなし ページ8

Abe side

Aがお風呂から上がってきたのでソファに誘導する。
斜めの位置にふっか、隣に俺が座りAを挟むようにする。

『…どうしたの？』
阿「A、最近しつこいかもしれないけど、何かあった？」
『…ないよ？』

深「なくないでしょ。自分じゃわからないかもしれないけど、A今つらそうなんだよ？」
阿「もし俺に話しにくいことなら、ふっかになら相談できない？それなら俺席外すよ？」
『亮平くんに話しにくいとかじゃないの、それは、違う』
深「阿部ちゃんだから話しにくいわけではないけど、何かはあるってことね？」

俺の発言に気を取られすぎて墓穴を掘るA。頭の回転が速いAがこんなミスをすることが、何かあることの証拠だ。

『…亮平くんが心配してくれてるのに言わなかったのは、私もいま混乱してて、うまく伝えられなくて、』
阿「いいよ、混乱してるからこそ俺を頼ってよ。話が行ったり来たりしても、うまく文章にならなくてもいいから」

これは俺の本音だ。Aのぐちゃくちゃした感情も、モヤモヤした気持ちも、全部受け止める覚悟がある。

『あのね、落ち込んじゃってる原因は今回起こったことだけじゃないの。』
阿「うん、」
『前のことと今回のことがいろいろ頭の中で絡まっちゃって、自分でもわかんなくて…』

少し泣きそうになりながら言うA。具体的ではないため、前のこと、今回のことが何を指しているのか理解できていない俺はAの伝えたいことの本質にたどり着けていない。

深「…A、前のことってさ、高校のときの、あれ？」

ふっかが静かな声で言うとAが小さく頷く。

深「あの話、阿部ちゃんにしてないの？」
『…ほとんど、してない。そういうのが苦手だってことはしてる』
深「今回ってことは、またそういうのがあったってこと？」

Aは俯き再度小さく頷く。

深「前のも今回のも整理がつかなくなっちゃって、話せないの？」
『ん、』

阿「…A、無理はしなくていいからね。Aが1番つらくない方法を考えよう？」
『ごめんね、』

涙声で言うA。Aが謝ることなんてないのに。

阿「まずさ、ふっかと話してみたら？前のことっていうのもふっかはわかるから、ふっかと一緒にAの頭の中整理する。それで、俺に話すときに混乱しちゃったらふっかにヘルプっていうのはどうかな」

できるだけAが苦しまない方法を探す、これが今の俺にできる最善だ。

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