【Ryohei.A】実は彼女がいるらしい

42.手 ページ42

Miyadate side

渡「Aちゃん、阿部とふっか戻ってくるまで寝ちゃったら？」
『んー…』

翔太の提案にゆっくり目を閉じたAちゃんは体力的にも限界だったのかすぐに眠ってしまった。
すやすやと眠るAちゃんを起こさないように俺たちは各々静かに過ごす。

・

阿部たちが戻ってくるまで眠っていられたら良かったのだが、Aちゃんはやはり体調が悪く眠っていられないのか起きてしまった。
そして寝起きだからか少し心がざわついてしまったようで

『…りょうへいくん』
岩「阿部今撮影してるからもう少し待ってような」
『…おしごと』
岩「そう、お仕事。撮影あと20分もすれば終わるかなー」

Aちゃん的には、思いっきり阿部に甘えたい、だけど仕事中であることを考えると…という葛藤があるのだろう。
すごく寂しそうな顔をしてしゅんとしてしまった。

宮「体調はどう？何かしてほしいことある？」
渡「あ、何か食べられそうなら俺買ってこようか？」

そういえば昨日の夜から何も食べられていないって阿部が言っていたな。

『んーん。だいじょうぶ』

普段は甘えられるはずのふっかや阿部がいないことで気を張っているのかもしれない。

宮「そっか。何かあったらいつでも言ってね。…あ、おでこのシート乾いちゃってる。自分で貼りなおす？俺がやってもいい？」

例のストーカーの件は聞いているのでこちらからの接触は避けたほうが良い。特に心も弱ってしまっている今、阿部でもふっかでもない俺たちには無謀すぎる。

『ん、やってほしい』

お姫様からの許可も出たので気が変わらないうちに早速。すると…

『みやだてくんの手、つめたくてきもちい』

呂律のまわっていない子どものような口調で話すAちゃん。
本当なら彼氏でもない男の手を頬にあてるのは良くないのかもしれない。ましてやAちゃんには阿部という男もいるわけだし。しかし

『してほしいこと…ちょっとだけでいいから、手、かしてほしい、です』

最後は消え入りそうだがこのかわいい発言を聞いたら断るわけにはいかない。

宮「俺らの撮影は阿部たち戻ってきてからだから、ちょっとだけと言わず阿部来るまでこうしていようか」
『みやだてくん、ありがと』

俺の左手にすり寄りながら言う、まさにSnowManの妹であるAちゃん。

起きたときは阿部がいないことで少々取り乱していたが、落ち着いたのかまたすやすやと眠り始めた。

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