僕と海賊団と砂漠の姫との別れ2 ページ14
「あ、A起きたのか!いま火傷の薬できたとこなんだ、包帯外すぞ!」
「うん、ありがとう」
先ほどまで机に向かってゴリゴリと薬を調合していたチョッパーが、俺たちに気づいてこちらへとやってきた。なにやらここの医療道具や薬草を自由に使っていいらしく、最初火傷に塗ったのより強力な薬ができたらしい。ぴょこぴょこと近寄るチョッパーが俺のそばまで来たので、俺は火傷している手を差し出した。
「ちょっとしみるかもしれないけど我慢してくれな」
「うん……、ッ…」
グルグルと綺麗に巻かれていた包帯の下には、まだ治り切っていない火傷の後が見えた。自分の手とは思えないほど痛々しく、見るだけで痛みが増す気がする。チョッパーの言う通り、薬は結構しみて思ったよりも痛かった。ビクッと肩を揺らすも、チョッパーの邪魔にならないよう必死にその痛みをこらえて薬が塗り終わるのを待つ。
「うん、これでもう大丈夫だ!即効性のある薬だから、安静にしてれば数日で痛みは無くなるよ」
「ありがとう、チョッパー」
痕は消えるまで時間がかかるかもしれないけど、痛みが引いてくれるなら俺としては問題なかった。きっとルフィたちなら、こんなのあっという間に治ってしまうんだろうけど。
「う……Aー……、」
「…ルフィ?」
突然、隣で眠っているルフィから俺の名前が発っせられた。すぐに視線を向けると、ルフィの顔は真っ赤になっていて息もし辛そうに肩が上下している。チョッパーもすぐ気づいて、ルフィの額へと手を当てた。
「また熱が上がってきてる…!おれ解熱剤用意してくる!」
「え、熱って…ルフィが!?だ、大丈夫なの!?」
「大丈夫だ!ちゃんと治る!」
ルフィが熱?そんなの、今までに見たことなんてあったっけ?あまりに屈強すぎるルフィの病気なんて、今までで考えたこともなかった。普段よりも格段に焦る俺に、ナミが肩をポンと叩いて「クロコダイルに勝った男が熱でくたばると思って?」と、ご尤もな説得力ある言葉に俺はすぐに落ち着いた。
「それにしてもこいつ、さっきからアンタの名前ばっか呼ぶのよね」
「え…」
「愛されてるわね」
そう言って、ナミは部屋を出て行ってしまった。
ルフィへと視線を戻すと、ああまた…「A」と俺の名を呼ぶ声。こんなにも近くに居るというのに、今のルフィには俺は遠い場所に居るのかな。そっとその手を握り、“ここにいるよ”と…伝えた。
「俺がルフィから……離れるわけないじゃん」
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なこなこ(プロフ) - 凄い (8月24日 2時) (レス) id: 5d7afb825e (このIDを非表示/違反報告)
宝石 - もうやらないの? (2023年1月8日 1時) (レス) id: d7e4bd1ac9 (このIDを非表示/違反報告)
. - titleどういう意味ですか? (2022年12月15日 4時) (レス) id: 81addc40f4 (このIDを非表示/違反報告)
宝石 - まだ? (2022年11月24日 21時) (レス) id: d7e4bd1ac9 (このIDを非表示/違反報告)
mi mi(プロフ) - 続きが楽しみ! (2022年11月16日 13時) (レス) @page44 id: 2d64276406 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:△ | 作成日時:2022年10月16日 2時