【男主】you we you【ワンピ夢】 (ページ38)

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僕と雪に覆われたドラム王国の魔女4 ページ38

「ん……、」
「おや目覚めたようだね、ハッピーかい？」

　目が覚めると、そこは温かいベッドの上だった。そしてベッドから少し離れたテーブルにもたれかかり、やたらとファンシーな格好をしたおばあさんが俺に向かってそう言う。何もかもが理解できない。
　背の高い本棚に沢山の分厚い本、なんだか怪しげな(昔の拷問器具みたいな)椅子に、実験室のようなコポコポと音を立てて煮立っているフラスコ、独特なこの空間は一体…。

「あたしゃ医者さ」

　Dr.くれは“ドクトリーヌ”と呼びな。
　その名を聞いた瞬間、俺は一瞬息を詰まらせた。なぜなら目の前にいるこの若作りしたおばあさんは――俺たちがずっと探していた医者なのだから。
　どうやら俺はウソップ達とソリで医者の来ている町へ向かっていた途中、意識を手放してソリから転落しまったようだ。大雪の中必死に地図を見て走っていたウソップ達は後ろにいた俺がいなくなっていたことに気付かなかったみたいで、俺は雪に埋もれて倒れていたとか。そこにDr.くれはがたまたま通りかかって拾ってくれて、そのまま城に持ち帰ったのだという。でもドクトリーヌは、ただ倒れていたから俺を連れて帰ったのじゃないと言った。

「お前、下手したらあと数日で死んでたよ」
「ッ！！」

　ゾクッ
　背筋が凍った。まさか自分がそんな境地に立っていただなんて思いもしなくて、ドクドクと心臓が脈打つ。最近の体調不良は気のせいでは無く、あるひとつの病気にかかっていたのだと知らされる。その病気は症状こそ普通の風邪くらいなのだが、放っておくと死に至る病だった。倒れていた時の俺の咳の仕方で、ドクトリーヌは気づいたのだという。
　その話を聞いてなにも言葉にできないまま息を飲み込むと、俺は他に重要なことを思い出した。そうだ、仲間が…ナミが、緊急事態なのだ。自分だけ助かって優雅にベッドで眠って、俺はなんて酷いことをしたんだろうと悔やむ。
　ドクトリーヌにそのことを伝えてベッドから出ようとした時、殺されるんじゃないかという勢いでナイフを突きつけられ「あたしの患者はあたしがいいというまで動かしはしないよ！」と言われ、またある意味ゾっとした。