【男主】you we you【ワンピ夢】 (ページ29)

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僕とある組織との奇妙な関係2 ページ29

ゾロに向かって何十人もの人がかかっていくが、ゾロを倒せるのは誰一人居ない。そんな光景をこっそり見ていたのだが、運悪く敵に見つかってしまって俺はただ焦るばかり。ああもうダメだ、なんて走馬灯を見る余裕もない危機的状況は一瞬にして覆った。気づけば体は宙を浮いて、いつの間にかゾロの腕の中だ。
　そのままゾロに抱えられたまま、ゾロはなんてことないように残りの敵を全員倒していく。途中ルフィが人質にされたが、なんとかそれも逃れられて安心した。というか、ルフィをトランポリン代わりに踏んづけてしまうほどだ。

「ふー…やっと、静かないい夜になった」
「……お疲れ様でした」

　見晴らしのいい建物の屋上に座り、ゾロは酒瓶をそのまま口づけて飲みながら一息吐く。ざっと百人くらい倒したんじゃないだろうかというゾロの横に座りながら、俺も一息つく。なにもしてないけど。
　綺麗な月と、大きなサボテンがよく見える。ゾロと２人して月見……なんて、なんだか笑えてくるのだけれど。

「そういやお前、どこ行ってたんだよ？」
「え、俺は２階で寝てたよ、今日の航海は疲れたからね」
「そうか？」
「ゾロずっと寝てたじゃん…俺たちはすごい疲れたの」
「そういやそうだな……そうだお前、酒飲めんのか？」
「酒場の息子なんで、そこはね」
「ほら、飲めよ」
「え…ああ、ありがとう」

　ゾロから受け取った酒瓶に、そっと口をつけて飲み込んでいく。今日は月が綺麗だ。酒も、おいしかった。

「あ、そういえばルフィのお腹、思い切り踏んじゃったけど…大丈夫かな」
「ああ、まあ大丈夫だろ。アイツのことだし」
「うん、お腹壊さないといいけど…」
「船長のこととなると過保護だな、お前は」
「え、そ…そう？」
「ああ、俺にはそう見えるぜ？」
「ま、まあ……長年一緒に居るからね」
「そうだったな」

　ゾロとこれだけ喋るのも、結構珍しいことである。それでも結構口数少ないが、喋った方だ。ただ、ゾロとは喋る回数こそ少ないけれども、一緒にいる時間は長いような気がする。危険な時は守ってくれる、皆と騒いで飲んでいる時はよく２人で彼らを眺めている、なんだかんだ言ってゾロは、ルフィの航海の…最初の仲間なのだ。