桜木軍団と私2 ページ12
「ここだ！」
「いやここだ、って…あ、洋平」
「おい花道、Aまで連れてきたのか…」
「多い方が早く終わるだろ！」
「ったく…、」
「は？え？は？」
ここだ！と言って到着したのは、なんだか汚くてやたら汗臭い部屋。パっとドアの上を見ると“バスケットボール部”と書かれていた。そしてその部屋の中には、洋平とその他たちがモップやホウキを持って立っている。私を連れてきた花道に、洋平は呆れた顔をしていた。そして私はまだ困惑中。
「ここを掃除してバスケ部に入れてもらうんだってよ」
「あー…あー………そういうこと」
「Aはコレな！」
そう言って花道に雑巾を手渡された。理由はなんとなーく理解できたけど、なんで私まで…と、ブーブーいいながらもとりあえずバケツに雑巾を突っ込む。それにしても、さすが男子バスケ部の部室は汚い。というか臭い。こういう汚い所を見ていると…どうも綺麗好き女子の血が騒ぐんだよね…。
「痛い痛い！おい花道、モップが当たってんだよ！」
「あ？スマン大楠」
「スマンじゃねぇ！っておいチュウ、水飛んだぞ！！」
「あー？わりーわりー」
掃除を始めるも、普段掃除に慣れていない不良たちの掃除は要領が悪すぎた。まるでサファリパークかとでもいうようにガヤガヤグチグチと騒ぐ彼らを見て、私はハァとため息を吐く。
「たかみんとチュウ！もっと床拭いて！大楠は窓ね！花道！あんたは背高いんだからロッカーとか棚上の方拭きなさい！洋平は私と整理整頓ね！！」
「「「「「は、はい！」」」」」
こうして私たちは、昼休みをバスケ部の掃除で潰した。
*
*
*
「いやー！Aのお陰で綺麗になったぜ！やっぱ持つべきものはAだな！」
「なにそれ、意味わかんない」
「ハッハッハッ！」
部室は見違える程綺麗になり、後はこれがバスケ部の主将に見せて気に入られるのを待つだけ…らしい。そう上手くいくものかと思うが、何故か桜木花道という男は何にでも自信満々で揺るぎがない。そんなポジティブ男に、私は静かに笑った。
「がんばってね、バスケ」
「おう！！！」
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作者名：△ | 作成日時：2022年9月30日 0時
