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「…ん、」
目覚ましが鳴らない。
何時だろうって腕を伸ばしたら、目の前にマルちゃんがいた。
すっと伸びた鼻筋が、綺麗な顔に影を作る。
静かに響く寝息に、昨日のことがフラッシュバックして。
「…夢、か」
ほっぺたをつねる。
…当たり前だけど、ちゃんと痛い。
ドキドキ、なんてものは全くなくて。
心も体も、びっくりするくらい空っぽ。
白と黒しかない殺風景な寝室の床で、
キラリと光ったピンクのチェーンが、何もない心に傷をつける。
すやすや眠るマルちゃんの癖っ気に、そっと指を通して。
起こさないようにベットを下りた。
(…見ても、いいよね)
落ちてたのを拾っただけ。
何も悪いことはしてない。
服を拾い上げるように、何気なく、さりげなく。
鋭利な刃物に触るように、チェーンに触れた。
ロケットの中には、あの日と変わらない2人の笑顔が、きらきら光って、収まってる。
優しそうな人だな、って。
いかにもマルちゃんの好きそうな、知的で、爽やかで、女っぽい人。
通訳してる姿が簡単に想像できて、
これじゃぁ忘れられないのも無理ないか、と思ってしまった。
自分で持ったナイフが、古い傷口をえぐる。
「…重いよ」
こんなのつけてシェーカー振って、何食わぬ顔で笑顔を振りまいて。
”好き”なんて簡単に言って、毎日私と会ってる。
「…マルちゃん、」
私ね、マルちゃんのそういとこ、大っ嫌いなの。
嫌いで、嫌いで、仕方なくって。
嫌いな人のために泣いてる自分も、大っ嫌い。
「…ねぇ、もういいよ。忘れよう？3年も待ったんでしょ？帰ってなんか、」
「…Aちゃ、ん？」
動いた布団に、はき出しそうだった言葉を飲み込んだ。
恋は人を傷つける。
誰かの幸せが、誰かの不幸せ。
マルちゃんを好きになるほど、見ず知らずのあの子のことを傷つける。
自分が醜くなるのが、怖い。
「…Aちゃん。こっち来て」
「…マルちゃん、私もう行かなきゃ。遅刻しちゃう」
「…何で」
「何でって、仕事、」
「行かんとって。…行ったら嫌や」
「でも、」
「嫌や」
隠した右手のロケットを、そっとジーパンのポケットに入れる。
許して、マルちゃん。
私ね？
貴方のこと、大好きなんだよ。
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千香(プロフ) - ゆんゆさん» いつもコメントありがとうございます。<(_ _)> 構ってもらえるだけでも幸せなのに、振り向いてもらえない現実は痛いなぁと青色さんに限らず思ってます。（笑）三角関係が更に広がっていく予定なので、のんびり更新ですがこれからもよろしくお願いします！ (2018年9月21日 22時) (
レス) id: 6d1e446494 (このIDを非表示/違反報告)
千香(プロフ) - ◎◎さん» いつもコメントありがとうございます。<(_ _)> のんびり更新ですが、これからも楽しみにしていてくださると嬉しいです！ (2018年9月21日 22時) (レス) id: 6d1e446494 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆ(プロフ) - みんなが幸せになってほしい…もちろん難しいんですよ。誰かを好きになるなる事は、知らず知らずに誰かを傷つけてるって。でもね、どうかみんなの気持ちが救われますように…って、全然感想じゃない！ごめんなさい笑 (2018年9月21日 0時) (レス) id: e91edee03b (このIDを非表示/違反報告)
◎◎(プロフ) - ドキドキが止まりません！これからも楽しみにしています！ (2018年7月17日 0時) (レス) id: 8846a7498c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千香 | 作成日時：2018年6月16日 23時
