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「…時間あったらね」





どうせ、あるわけないけど。

適当に返事をして、それっきり窓の外を向く。



章大は、昔から人の感情の変化に敏感だった。

だから、顔を見たら思ってること全部読み取られそうで。

怖くて、たまらない。





あの日、こっそりポケットに入れたマルちゃんのロケットは、家の引き出しに入ったまま。



”ほくほく”には変わらず行ってるのに、マルちゃんは何も言ってこない。



優しい目が、帰りのキスが、嬉しいはずなのに私を傷つける。





「柊様。ご準備はよろしいですか?」

「はーい」





鏡に映る自分を見ながら、冴えない奴ってことを再認識した。


女の子の憧れ、純白のウェディングドレスを着たアラサー女の顔は、

お世辞にも綺麗とは言えなくて。



化粧してるのに顔色は悪いし、締まりのない体系ってことが丸わかりで悲しくなってくる。



せっかくだから髪もセットしましょう、

なんて浮かれてる店員さんが、私より何歳も若く見えた。



こんな花嫁もどきを、マルちゃんは喜んでくれるんだろうか。





「資料用に、安田様とお二人でお写真を撮ってもよろしいですか?」

「あぁ、はい。かまいませんよ」





作り物の男女の写真なんか撮ちゃって、カメラが汚れたりしないかな。



なんて考える私の方が、だいぶ汚れてる。





スタジオのイスに座って、ぼーっと天井のライトを見上げてた。



”ほくほく”のステージでベースを弾くマルちゃんを思い出して、何でか泣きそうになって。





革靴の音が近づいてることも知らずに、大きなため息をつく。





「A」

「しょう、」





言葉にならない、っていう経験を初めてした。




ほんとに章大?

どこかのモデルさんじゃなくって?



疑っちゃうくらい、目の前の男の人は綺麗な笑顔で。

白いタキシード姿の章大に、吸い込まれるように世界が止まった。





「何固まってんの」

「…いや、何か。全然予想と違ったから」

「惚れ直した?」

「馬鹿なこと言わないでよ」





声が震えてる。

カメラマンの指示で、座った私の肩に置かれた章大の手を見て。



間違いなくこの人が好きだったときがあったんだって。

10年以上も前のこと思い出して、勝手にどきどきしてしてる自分がいるの。









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千香(プロフ) - ゆんゆさん» いつもコメントありがとうございます。<(_ _)> 構ってもらえるだけでも幸せなのに、振り向いてもらえない現実は痛いなぁと青色さんに限らず思ってます。(笑)三角関係が更に広がっていく予定なので、のんびり更新ですがこれからもよろしくお願いします! (2018年9月21日 22時) (レス) id: 6d1e446494 (このIDを非表示/違反報告)
千香(プロフ) - ◎◎さん» いつもコメントありがとうございます。<(_ _)> のんびり更新ですが、これからも楽しみにしていてくださると嬉しいです! (2018年9月21日 22時) (レス) id: 6d1e446494 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆ(プロフ) - みんなが幸せになってほしい…もちろん難しいんですよ。誰かを好きになるなる事は、知らず知らずに誰かを傷つけてるって。でもね、どうかみんなの気持ちが救われますように…って、全然感想じゃない!ごめんなさい笑 (2018年9月21日 0時) (レス) id: e91edee03b (このIDを非表示/違反報告)
◎◎(プロフ) - ドキドキが止まりません!これからも楽しみにしています! (2018年7月17日 0時) (レス) id: 8846a7498c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千香 | 作成日時:2018年6月16日 23時

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