カゼカオル【Red】 (ページ5)

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５．ろくでもないページ5

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「…すまん」

静かな部屋に

ぽつりと薫さんの声が響く

チンピラは手を引いたみたいだけど

”まだ帰ったらあかん”って言うから

ヒーロー協会の部屋を借りて

傷を手当てしてる

どうやら今日は

ここに２人で泊まりらしい

「…何で謝るんですか」

「…気ぃ悪くしてるんやないかと思って」

「…薫さん、」

…呆れた

確かに怒ったけど

そんなの引きずってたら

手当なんてしてられない

血がにじんでた胸の傷は

少し深くて

痛みに耐える顔を見てると

申し訳ない気持ちになる

「…ごめんなさい」

「…何でお前が謝んねん」

「だって、」

「自分守ってケガしたわけちゃうし。

うぬぼれんなや」

「…さっき”すまん”って言ったのに」

ご飯のとき以外の薫さんを

少し新鮮に感じながら

上着を脱いだ背中と腕に

湿布を貼っていく

「薫さん、」

「…何や」

「いつも、こうだったらいいですね」

「それは、ケガしてこいってことか」

「そうじゃなくて。薫さんがいつも、こう…、」

「だから何や」

「…一緒に、いてくれたらいいなって」

「あほか。…もうおるわ」

「…ぇ、」

聞き間違いなのかな

いつだって無愛想で

つっけんどんな態度しか

とらないし

恋人になっても

彼氏らしいことはしない

それが、薫さんだって

ずっと思ってたけど

今、私の手を握って

真っ直ぐに見つめてくる薫さんは

私の知らない、男の人

「A、」

「…なん、ですか」

「ちょ、…目、つむって」

「…へ、」

「はよ、遅い」

変に期待させておいて

目の前で私のほっぺたに

遠慮がちにキスしたのは

やっぱり、いつもの

薫さん

＋