カゼカオル【Red】 (ページ4)

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４．ウソツキと酒のみページ4

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「…私、ちょっと行ってきます」

だめだ

待ってなんかいられない

薫さんのお友達には”やめとけ”って

しつこく止められたけど

お昼をすぎても帰ってこないなんて

心配でたまらない

ビルの階段を駆け下りて

重いドアを開けて外に出たら

「薫さんっ、」

真っ赤なヒーロースーツを着た

薫さんが

ふらふらとこっちに歩いてきていた

「薫さんっ！」

「…ぁ、俺は、」

「もう、ばればれですよ？」

”全部聞きました”って言ったら

”そうか”って小さくつぶやいて

苦しそうに顔をゆがめた

スーツの胸元が

濃い赤色に染まってる

「…薫さん、けがして、」

「何でもない。…心配すな」

「心配するなって…」

嫌な人だ

これでもかってくらい

たくさん心配させておきながら

まだそんなこと言って

カッコつけないでよ

「っ、薫さんの、ばか！」

「…ぇ、」

「何で一人でこそこそするんですか!?

何で私に何も言わないんですか!?

何で…何で…っ、」

「…A」

子供みたいに

ぼろぼろ泣きながら

薫さんのほっぺたの傷とか

腕の傷とか

いつもよりひどい

格好を見て

「…好きです」

自分でもびっくりするぐらい

すんなり言葉が出てきた

一歩、下がりかけた薫さんをつかまえて

傷に触らないように

そっと、抱きしめる

お酒の、匂い

「…好き。大好きです、薫さん」

「っ、」

「守ってくれて嬉しかった。

…けど、私だって守りたいです。

もう、薫さんにケガさせたくないんです」

「…A、」

「…もうちょっと、このままでいいですか？」

返事は、なかった

その代わり、そっと

背中に

薫さんの手が触れたのを感じて

「ちょっ、ヒーロー協会前でいちゃいちゃは禁止ですよー」

ビルから声をかけられるまで

お酒と薫さんの

甘い香りに

しばらくひたってた

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