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いつの間にか、友愛という友達はいなくなっていた。
「......A?」
Aを呼んでみる。が、返事は返ってこない。
歩いて、Aを抱きかかえる。
ここは横断歩道だ。それに、もうすぐで赤信号に変わる。
そう思ったオレは、さっきオレが立っていたところまで戻って来た。
カァカァと鳴くカラスの声がやかましい。
Aは目を閉じた状態で何も言わなかった。
鼻の近くに耳を寄せる。
息を、していない。
まさか....。嫌な予感は的中してしまった。


Aは轢かれた時から、死んでいた。


それを証明するかのように、横断歩道と道路の一部に赤い血が飛び散っている。
異臭(いしゅう)がここまで来ていた。
「....Aっ...!」
名前を呼んだら生き返る。そんなことがあれば、オレは今すぐにでも生き返らせている。
でも、そんな超人的なことができるわけがない。
名前を呼んで行くうちに、オレの頬を伝うものがあった。
手でぬぐいとってみると、それはオレの涙だった。
涙を流すことはほとんどなかった。なのに、ぽろぽろ涙は溢れ出る。
ぎゅっと冷めきったAの体を抱きしめる。
「うぅっ………」
ああ。涙が止まらない。
恋仲を失うって、こんなにつらいんだ。
初めて、そう思った。
下に向けた視線をAに戻そうとした時。
自分の目を疑った。


Aの姿が消え始めている。


その証拠に腕にかかる体重が軽くなっていく。
Aを抱きかかえていた手の指が、Aを捉えていなかった。
「え.....え.....。なんで.....なんでだよ....!」
掴もうとしているのに、指は捉えていない。
どんどん、腕にかかる体重が軽くなっていく。
もう、周りの景色と同化するぐらい、Aの姿は消えていた。
そして、完全に見えなくなった。


夕暮れ時の別れだった。

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卯月@時空神マジ尊い(プロフ) - ルナさん» 若干カゲロウデイズよりですね…。 (2018年11月18日 9時) (レス) id: b6dcafd39c (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - これってカゲロウデイズですか? (2018年11月18日 9時) (レス) id: b2df93e4b2 (このIDを非表示/違反報告)
みおな - 頑張って( ^▽^)/ きら妹です (2018年10月14日 21時) (レス) id: 7693a38d7e (このIDを非表示/違反報告)
卯月@時空神マジ尊い(プロフ) - きらさん» 新しいと言うより書き換えてしまいましたけどね…書き換えてすみませんっ!!でも頑張らせていただきます! (2018年10月14日 17時) (レス) id: b6dcafd39c (このIDを非表示/違反報告)
きら - 新しい小説キターーーーーーーーーーーーー頑張って下さい (2018年10月14日 17時) (レス) id: 7693a38d7e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:卯月@時空神マジ尊い | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年3月19日 20時

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