転生した先で会おうね。【暗黒神エンマ】

エピローグ ページ18

日が高い、休日の午後。
「A、お邪魔する」
そう言って、家に上がり込んで来たのは、暗黒神だった。
自分の部屋へと案内して、椅子に座る。
「どうだ、調子は」
『うーん…だいぶ落ち着いたよ』
あの後、潰れた目は包帯を巻いてもらって、すぐに塞がった。目が潰れたというのを両親にいうのはとてもつらかった。
でもそれは、両親も同じだ。だって、娘の目が片方潰れているんだから。
当たり前だけど、潰れた片目はもう、使えない。自分の意思で動かすことなんて、不可能。
だけど、私にはまだ右目が残されている。
それで、光を、命を、全てを感じて、生きている。
時空神はそれで良かったのかと言っていたが、私はこれでいいと思っている。
だって、何回も死んで何回も生き返るのは、嫌だった。
普通に、人生を生きたかった。
ただ、それだけだ。
「それは良かったな」


目を失ったAは、残された右目だけで生きている。
彼女にとってはこれが良かったらしいけど、本当に良かったのかと今でも思う時がある。
Aは、「何回も死んで生き返るより、普通の人生を歩んだほうがいい」と言っていたが。
そう言われると、納得してしまう。
そして、Aの目をとった山の神。
あれは、調べるのはやめた。
深く詮索(せんさく)してはいけない気がしたから。


今日も片方の目だけで、私は。


生きる。

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