カムバ準備 ページ13
僕はこう見えて力持ちだ。
だからドジで運気がない分
たくさん雑用をやって皆んなの役に立ちたい。
だけどその気持ちすら空回りしてしまう。
「うわっ！
あ〜、やっちゃった…ㅠㅠ」
急いでる時に限って
グッズのサンプルが入った箱の底がやぶれるなんて。
ほんと僕って、何やってもダメだ。
上手くいかないとき
不運なんだから仕方ないって
あんまり気にしないようにしていたけど…
たまに僕だって泣きたくなる。
なんで上手くいかないんだろう、って。
「はぁ…っ、泣くな！！
頑張らなくちゃ！」
LK「あ、Aさん？」
「あ……、すみません！
僕またやらかしてしまって、」
LK「この量を1人で運んできたんですか？
それは無理がありますよ」
床に這いつくばってグッズを拾う僕を
リノさんが大きな目で見下ろすから恥ずかしい。
グッズのサンプルすら
会議室までまともに運べない僕なんて…
LK「怪我してませんか？」
「大丈夫です！」
LK「大丈夫の顔じゃないけど？」
「あ、いや、！
手伝わなくても、僕1人で…」
LK「これ新しいグッズですか？」
可愛いグッズの中に入っていた
ロゴ入りのシュシュを僕の頭にポン、と乗せて
リノさんは笑った。
LK「天使の輪っか〜」
なんでそんな可愛いことするんですか？
僕は天使なんかじゃない。
LK「さて。あっちの会議室ですよね？」
「は、はい」
LK「2人で運んじゃいましょう」
むしろリノさんの
無邪気な笑顔のほうが天使みたいなのに。
LK「転んで痛かったから泣いたんですか？
それとも上手くいかなくて泣いたんですか？」
「え？」
僕の顔を見てニヤニヤしながら話すから
恥ずかしくなって耳が熱くなった。
僕、泣き虫キャラじゃないし！
「な、泣いてませんっ！」
LK「そう？」
「あの、本当に手伝わなくて大丈夫です！
1人で運べますから！」
LK「拗ねないでよㅎㅎ
2人で運んだほうが早いでしょ」
「すみませんリノさん…」
LK「すみませんじゃなくて
ありがとうがいいんだけど？」
なぜか嬉しそうに微笑むリノさんは
ダンボールを持つ腕に血管が浮いていて
僕も力は強いけど
こんなカッコいい腕じゃない。
「あ、ありがとうございました」
LK「いえ？」
ツンとした言い方のくせに
まだニヤニヤしてるから
リノさんってもしかして少し意地悪な人かも
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作者名：ぽん
| 作成日時：2023年11月3日 9時
