第40夜 ページ40
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そこからどうやったのか、なんて私には知る由もない。
というか、教えられてもきっと理解できない。
私達は、あの船があった場所に辿り着いていた。
周りを見渡しても、あの巨大な船はもうどこにもいない。
行き先はきっと、あの3人しか知らないのだろう。
｢……志麻｣
｢ん？｣
｢あの人たち、どこに行くんだろうね｣
｢さあ、な。また適当にどっかに行くんちゃう｣
志麻、と名前を呼べば返ってくる返事が、当たり前のはずでも、とにかく嬉しかった。
この場所には私達しかいないのか、お互いの声がよく聞こえる。
だから、志麻が私を呼ぶ声もよく聞こえた。
｢A、はよ行こ｣
｢行こう……って、どこに？｣
｢街でも俺かお前の家でもどこでもええ、1年の行方不明者が突然見つかったんやから警察だとかこれから忙しくなるやろうけど____｣
｢今日は、今日だけは皆仮装とお菓子といたずらに夢中なんやから、俺らなんて気付かんよ｣
そう言って、志麻は手を伸ばしてくる。
そうだ、まだハロウィンは終わっていない。
去年で嫌になりかけたハロウィンも、志麻が戻ってきたのなら、一緒に過ごせるなら、悪くないのかもしれない。
これからはきっと、また一緒に過ごすことができるはず。
そんな理想を描きながら、心の中で期待しながら、彼の手をとる。
2人で、街の方へと歩き出していく。
どこに行こうか、何を食べようか、そんな日常的な会話すら久々でつい盛り上がってしまう。
自然と歩く足取りも軽く、すぐ街の騒ぎが聞こえる距離まで来ていた。
前を向けば、キラキラと光るイルミネーションが建物の隙間から目に入る。
｢あ、そう言えば言い忘れてたな｣
｢何が？｣
｢トリックオアトリート｣
｢お菓子なんて持ってないの分かっててそれ聞く？｣
相変わらずの意地悪さ。何か企んでいるのか、浮かべている笑みは可愛らしいとは言えないものであった。
｢ほな俺とAの手が離れんようになる魔法でもかけとくか、なんて｣
｢……それなら、歓迎だけど｣
握る手の力が強くなる。
絡まった指から、合わさった手のひらから生きている人間の熱を感じて、ようやく戻ってこれた、と実感した。
彼氏がゾンビになっていたなんて、それこそ誰も体験したことの無いイタズラだ。
イタズラレベルじゃないけど。
それでも私はきっと、ゾンビだろうが何だろうが、志麻がずっとずっと大好きなんだ。
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クロナ - 涙目になりながら読ませて頂きました。とても面白い話でした！ (2019年1月23日 0時) (
レス) id: 95383b2889 (このIDを非表示/違反報告)
心愛 - とてもよっかたです！夢主ちゃんと四人が再会するお話とかその後話が欲しいです！ (2018年11月27日 21時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - ゆづきさん» コメントありがとうございます、まだまだ拙い文ですがそう言っていただけて感無量です…！閲覧ありがとうございました！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - つぼみさん» コメントありがとうございます、少しでも作品の雰囲気を楽しんでいただけでとても嬉しいです！期待に応えられるよう頑張ります！！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - 感動した。ただその一言です！愛が感じられるとても素敵な作品でした！ (2018年10月30日 18時) (レス) id: 5ea47c424e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：史緒 | 作成日時：2018年10月3日 23時
