第38夜 ページ38
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____誰かが、私の頭を撫でる。
ひどく優しい手つきで、慈しむように、存在を確かめるように、そっと、誰かの手が私に触れている。
この手には、覚えがある。
懐かしくって、私の大好きな人の手。
それでも、私はしっかりと姿を見たかった。
重い瞼を上げ、ぼんやりとした視界を何度か瞬きをして明白にしていく。
視界に、"彼"が写った。
｢し、ま｣
たどたどしく、彼の名を紡ぐ。
志麻だ、髪も、目も、鼻も、口も、肌も、1年前から何も変わっていない、志麻がそこに居た。
｢ねぼすけやなあ、相変わらず。後でコーヒーでも入れといたろか｣
志麻から発せられる言葉は、一緒に過ごした休日の朝、しょっちゅう聞いた言葉。
それがどんな意味を表すか、私はすぐに理解して、思わず涙をぼろぽろ零す。
｢ばか、志麻のばか、ねぼすけは志麻じゃん｣
｢うん｣
｢ずっとずっと心配して、会いたくって、声が聞きたくて、………ずっと、好きで｣
｢うん｣
｢やっと会えたと思ったらゾンビになってるし、私のこと忘れてるし｣
｢それは、ごめんな｣
｢でも全然性格変わってないし、なんだかんだ優しいとことも変わってないし｣
｢ふ、そっか｣
｢好きなの、志麻、ずっと｣
｢……うん｣
まるで壊れた蛇口のように、言いたかったことが溢れて止まらない。
そんな私をぽんぽん、と頭を撫でながら、しっかりと目を見つめて、話を聞いてくれる志麻。
その目は優しくて、口元もうっすらと微笑んでいる。
｢俺も好きやで、……大好き、愛してる｣
甘く、優しい声が耳に届く。
頭を撫でていた手が後頭部に回り、触れるだけの口付けを何回か交わす。
｢立てる？無理すんなよ｣
唇が離れる頃には私も落ち着き、志麻の手を借りながらなんとかベッドから床へと降りる。
ぐらつきは感じるが歩けないほどではなく、自分で立つことも出来る。
それでも繋がれた手はそのまま、むしろ握る力に少し力を込めた。
｢ほな、帰るか。……俺たちが過ごす場所に｣
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クロナ - 涙目になりながら読ませて頂きました。とても面白い話でした！ (2019年1月23日 0時) (
レス) id: 95383b2889 (このIDを非表示/違反報告)
心愛 - とてもよっかたです！夢主ちゃんと四人が再会するお話とかその後話が欲しいです！ (2018年11月27日 21時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - ゆづきさん» コメントありがとうございます、まだまだ拙い文ですがそう言っていただけて感無量です…！閲覧ありがとうございました！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - つぼみさん» コメントありがとうございます、少しでも作品の雰囲気を楽しんでいただけでとても嬉しいです！期待に応えられるよう頑張ります！！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - 感動した。ただその一言です！愛が感じられるとても素敵な作品でした！ (2018年10月30日 18時) (レス) id: 5ea47c424e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：史緒 | 作成日時：2018年10月3日 23時
