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何が起きているのか分からない。
昨日は確かうらたん達と飲んで、目が覚めたと思ったらなぜか皆とAがいる。
昨日、俺どうやって帰ったっけ?
必死に頭を回転させるが、酒に記憶を全て飛ばされて何一つとして覚えていない。
しかし、はっきりと分かるのは、
Aがここにいる以上、彼女の手を借りたのは確実だ。
お茶を喉に流しながらそんなことを考える。
………しかし、今の状態は俺にとっていいとはいえない。
Aが俺の家にいることはいい。むしろ歓迎する。
浦島坂田船の皆が家にいることもいい。皆のことも歓迎する。
ただ、この両者が同時にいるとなれば話は別だ。
3人のことをよく知っている分、良い男すぎてAと会わせたくなかった。
それに、俺は彼女に歌い手のことを話していない。
機会がなくて、話すタイミングを失ってしまった。
それは置いておいて。あまり3人とAの距離を縮めさせたくはない、ただでさえ坂田辺りはすぐ人と仲良くなるし____
「え〜!Aさんって生まれも育ちもここなんや!」
「そうなんですよ、地元っ子なんです」
「センラのとこに遊びに来る時とかによく来るんやけどさ、ええとこやんな!」
…………言わんこっちゃない。
悪意がないのは分かっている、興味がある、その一心なんだろうがどうきても良い気はせずに無意識に顔が険しくなっていたようで、志麻くんにとんとんと肩を叩かれた。
「顔こわ〜、ほんまセンラ嫉妬しやすいんやな」
そう言う志麻くんの顔は俺と対照的にこの状況を楽しんでいるようで、普段より生き生きとしているのは気のせいだろうか。
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作者名:史緒 | 作成日時:2018年9月12日 0時