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｢………で、どうするよこれ｣
目の前には酔った挙句心地よさそうに眠っている2人。
まーしぃと目を合わせて、2人で苦笑いする。
あの後坂田はすぐ落ちたし、センラは1人でずっとAって子への惚気を言ってるし。
｢俺らはホテル一緒だからいいけどさ、センラはどうするよ、家近くだっけ？｣
｢近くだったはず、ほんと歩いて行ける距離だったような｣
明日には浦島坂田船で動画を撮る約束をしている。
坂田は俺らが起こせばなんとかなるだろうけど、センラはこのままだと寝坊する未来しか見えない。
試しに起こしてみるか、と思いセンラの肩を軽く叩いておーい、と声をかける。
俺の予想とは違い、センラは割とあっさり目を開けた。
数秒間ぼーっとした後、俺らに気付いて目線を向けてくる。
………起きたのはいいけど、酔いまだ冷めてないよね、これ。
｢ん、うらたん………？｣
｢おーう、そうだぞ、おはようセンラマン。1人で家帰れる？｣
｢あー………、うん、大丈夫、やで｣
どう見ても大丈夫じゃなさそうな様子に俺もまーしぃも眉を下げる。
そんな俺らに気がついていないのか、ふらふらと不安定なまま立ち上がる。
｢センラ、無理すんなって、タクシー呼ぶから待っとけ｣
｢へーきやってえ、またなあ、志麻くん〜｣
だめだこれ、1番めんどくさいパターンだ。
2人で大きなため息をつく。
｢俺タクシー呼んで坂田とホテル戻るわ、うらたさん悪いんやけどセンラの様子見といてくれへん？｣
｢俺もそれが一番いいと思ってた、会計任せていい？後で払う｣
坂田のことはまーしぃに任せておくとして、店を出て急いでセンラの後を追う。
慣れない土地で迷いそうになったが、運良くすぐにセンラの背中を見つけることが出来た。
声をかけようとして、すぐに足を止める。
すぐ側に、見たことの無い女性の背中も見えたから。
二人の距離はとても近く、恋人です、と言われても疑う要素がない。
距離があるため何を話しているかは聞こえないけれど、センラの様子を見るに酔っ払ったセンラの介抱をしてくれてるのだろう。
センラが何か言っている、何を話してるか、なんてのは聞こえない。
それでも、たった少しだけど、Aという先程まで散々聞かされた単語が、また聞こえたような気がした。
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作者名：史緒 | 作成日時：2018年9月12日 0時
