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｢うーん…難しいことは俺よう分からへんけどセンラがその子のこと好きで、その子もセンラのこと好きなら絶対いつか結ばれるはずや！だからとりあえず今日は飲め飲めぇ！！｣
｢坂田、お前既に酔ってるだろ｣
｢お互い好きでも行動に移さんと結ばれへんもんやで〜｣
ようやく坂田が口を開いたと思ったら、呂律の回らない声色でアドバイスのようでアドバイスじゃないことを言われる。
他のふたりはまだ冷静なのか、坂田の言うことを窘めながら彼が持っているグラスを置くように促した。
いつか、結ばれるはず。ねぇ。
志麻くんの言う通りだ、行動に移さなきゃ結ばれるはずがない。
Aは行動に移してる、俺は怖くてAから逃げてばかりいる。
兄貴分として接するのは得意だったのに、一人の人間として、男として接するとなるとどうしてこうも臆病になってしまうのか。
自分への嫌気をアルコールで流し込む。
ああ、なんだか頭がふわふわする。
難しいことが考えられなくなって、この状態ならAになんでも言えるのかな、なんて馬鹿なことを考える。
｢あ、ラマンバカ、それ以上やめとけ｣
｢ん〜、A〜…？｣
｢はぁ？誰だよAって……｣
｢センラ酔ってるだろ、多分好きな子とうらたさん間違えてるんじゃないの｣
｢好き、好きやで、他の男なんて見んといて、俺だけずっと見といてえや、Aはかわええから、取られそうで、俺、心配で……｣
視界がぼやける。遠くでなにか声が聞こえるけど、それがなんの声なのかすら分からないほど頭が回っていないようだ。
でも、もうこの際、言ってしまおうか。
彼女がいてもいなくてもどっちでもいい、彼女への思いを、口に出してしまいたい。
｢……そんなに好きなんやなあ、Aって子のこと｣
｢本人の前で言ったらいいのに｣
｢会ってみたいなあ俺！｣
他の3人がこんな事を言っていたなんて、俺は知るはずもなかった。
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作者名：史緒 | 作成日時：2018年9月12日 0時
