▼24 サガ ページ24
きっくんたちの話では元カノに振られて未練タラタラだから忘れさせるために私とあろまが付き合ったらいいって事だった。
そんな未練タラタラなら、欲しい物のためなら金を惜しまない、行動力のあるあろまならすぐにでもアタックして復縁しそうなのに。
でもほぼほぼの時間を私といるから、そんな元カノに会いに行ってる時間なんてなさそう。
と、言うことはだ。
元カノと復縁が出来ないような終わり方をした、あるいは元カノに会えない。のどっちか。
ここまでの考えにありつけばもう真相を知りたくて知りたくて仕方ない。
でも、他所様の破局事情を聞くなんて下世話なことをしていいものなのだろうかと、しかも未練タラタラなら尚更聞いたらダメなんじゃないかと何度も思い止まった。
「寒かったりあったかかったり地球は忙しいよなぁ」
「でも夜は冷えるよね」
白菜と１リットルのペットボトルの入った袋を両手に夜空を見上げるあろまの隣を豚バラ肉とケーキの入った軽い袋を持って歩く。
空を見上げるあろまの喉元にぽっかりと浮かぶ喉仏が妙に色っぽくて、直視出来ないから少し逸らすように彼の耳辺りに視線を向ける。
「あろま、さ…」
「んぁ？」
空を見上げてた顔がこちらを向いて、私も顔を上げる。
「なんで彼女と別れたの？」
聞いちゃいけないと思っていても、結局気になってしまって仕方ないものは、気まずさからこぼれてしまった。
一応現彼女だしね、なんて心の中で言い訳するけどそれがあろまに届くわけもなく
「あー…まぁ、そんな大したことじゃないよ」
ちょっとの間の後「腹減ったー」と間延びした声を出して少し足を早める彼の背中を眺める。
踏み込んじゃいけない所だったんだな、と、ぼーっと思う。
きっとあろまに未練があるうちは私に話せない。
想ってる人がいるのに他の人に弱みを見せるような奴じゃない。
もしも、弱みを見せてもいいって気を許してもらえた時にちゃんと聞こう。
「早く帰って作って食べようね」
数歩前を歩くあろまに駆け寄り並んで歩く。
不思議そうに私の顔を覗き込んだかと思ったら口角をキュッと上げて「だなー」ってまた空を見た。
でも、なんでだろう。
こう言う形でしか私の隣にちゃんと居てくれないってわかっちゃうと
…無性に恋しくなってしまうのは、人間のサガだろうか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 103人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
有馬(プロフ) - 007さん» ありがとうございます！ついに最終章です！楽しんでいただけるように頑張りますのでお待ちくださいませ！ (2018年12月15日 9時) (
レス) id: adf3e71480 (このIDを非表示/違反報告)
007(プロフ) - 2章完結おめです！ついに最終章ですか…楽しみです！ (2018年12月15日 0時) (レス) id: 378ccf97ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：有馬 | 作成日時：2018年11月9日 10時
