▼11 後者か前者か ページ11
優馬とは、半年くらい前に別れた。原因は彼の浮気で。
あの人が隠すの下手なのもあるけど、女子の第六感的なのは本当にあるようで、なんとなく気づいてしまった。
その時でもあの人のことを怖いとは思わなかったのに。
むしろ他人事だったところが大きい。
私を裏切った彼がここまで追いかけて来たことが怖いなと思った。
どんな心境の変化かは知らない。
よりを戻そうと言われても戻らないし、謝られたとしても許す気もさらさらない。
私には話もないし、会いたくもない。
そんな存在だった。
.
それでも優馬には何かあるらしく、ほぼ毎日帰路をつけられるし、マンションのエントランスで待ってる。
恨みを買った覚えはないけど、そのうち刺されるんじゃないかとか無駄な心配をし出したら無駄に怖くなってここ数日の帰宅の時間は生きた心地がしなかった。
「あ」
「ひっ……え？」
エントランスから出てきた人のすれ違い様に上げられた声に肩を揺らしその人を見るとま出てきたのはまさかのあろまだった。
「なんでそんなびっくりしてんの」
「あ、いや…突然だったから？ …ってか、」
「なんでここに？」と二人の声は被った。
会いたくない人を思い浮かべていると会うはずもない人に出会った。
でもエントランスから出てきたと言うことは中の住人かそのお客さんとしか考えられない。
「…あ、彼女？」
「はっ。とっくに振られてるわ」
「え、じゃあなんでここに…？」
私の間抜けな質問に可笑しそうに笑うあろま。
もう後者じゃないなら前者しか考えられんだろう、と私の中のまだ冷静を保っている部分が言う。
「ここに住んでるからに決まってんじゃん、バカなの？」
そうですよねー。知ってたー。
「お前は？」と首を傾げる。
「…少し前に引っ越してきた」
「やだ。ストーカー？」
縁起でもない言葉にあろまの腕を殴る。
いて、って小さく言って眉を下げる。
「まさか同じマンションとはなー…あ、時間やべえ。俺これから用あるから行くわ」
「うん、気をつけてね」
「お前もなー」
ポンと頭に手を置かれて、そこを自分の手で押さえ早足な後ろ姿を眺める。
「もうエレベーター上がるだけだっつーの」
そうぽつりと呟いてエントランスに入った。
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有馬(プロフ) - 007さん» ありがとうございます！ついに最終章です！楽しんでいただけるように頑張りますのでお待ちくださいませ！ (2018年12月15日 9時) (
レス) id: adf3e71480 (このIDを非表示/違反報告)
007(プロフ) - 2章完結おめです！ついに最終章ですか…楽しみです！ (2018年12月15日 0時) (レス) id: 378ccf97ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：有馬 | 作成日時：2018年11月9日 10時
