新しい朝がきたら5 ページ45
「浴場……はまぁ、昨日見たしいいかな？」
「A、ショッピは行ってませんよ」
「あぁそうか……なら場所だけ案内しておこう。後で入るしね」
晩餐室を横切って廊下の奥へ。玄関ホールの奥を軽く指す。
「階段下のあの扉、使用人のみんなが働く区画に繋がってるけど、入り組んでるから子どもだけでは入らないように」
「何があるん？ あ、ですか？」
「苦手なら敬語は要らないよコネシマ。……そうだね、洗濯室や使用人ホール……さっきの厨房もここに繋がってるし、ボイラー室とか他にも色々ある」
「へぇー」
「お手伝いさんは随時募集してますからね、いつでも来てくれていいですよ」
「はーい」
浴場の鍵はアガタが開けた。浴室を乾燥させるため窓を全開にしているので脱衣所からそのまま奥まで覗ける。昨日浴槽に貯めた湯はもう抜いてあって空だ。
「……ひろい……」
「今のは……ショッピだね。そうか、据え付けの広い湯船があるのは珍しいだろう」
振り向かれるとは思っていなかったらしいショッピは目を丸くし、小さく頷いた。
「入浴は一日に少なくとも一回、なにか汚れること、例えば外遊びなんかをしたら都度湯桶を用意させるから誰かに言うこと。私にでもいいからね」
視界の端で手が挙がって、そちらを向く。
「どうかした、ひとらん」
「……、」
言葉を選んでいるように、何度か唇がはくはくと動く。
「……どうぞ、祖国の言葉で」
傍に行って、下から覗き込んで続きを待つ。
"……私たちは、外に出られますか？"
「あぁ、今言った通り。すぐに街に出すのは不安だから待ってほしいけれど、庭にならいつでも」
"本当ですか？"
「こんなことで嘘はつかない」
黒曜を宿した異国の瞳がきらっと光る。美しいものを見た、と口元が緩む。
「外は好きかい」
「……はい」
「！ ……そうか」
自分が屈んでいて手が届かなかったので、頭の代わりに頬を撫でる。
「なら次は庭に行こう」
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咲季 - 1000票目頂きました…！面白かったです。続編も読ませていただきました！！ (2022年1月10日 19時) (
レス) @page1 id: 96347ca1af (このIDを非表示/違反報告)
ﾅﾐｦの家のあろさうるす - オークションパロってはじめて見たんですが、とっても素晴らしいです！更新待ってます！マンちゃんがかわいくて尊さに耐えきれず死にそうになりました！ (2020年4月4日 19時) (レス) id: 2e27670cb5 (このIDを非表示/違反報告)
吉野あまみず(プロフ) - bhさん» ありがとうございます！ 続編出来ました！ まだお待ちいただけてるでしょうか……？ 良かったら読んでくださいね！ (2020年3月7日 7時) (レス) id: dec961c083 (このIDを非表示/違反報告)
吉野あまみず(プロフ) - キャラメル中毒者さん» コメントありがとうございます！ 続編投稿致しました！ 楽しんでいただければ幸いです！ (2020年3月7日 7時) (レス) id: dec961c083 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 大好きです、気長に更新待ってます、応援してます。 (2019年12月24日 12時) (レス) id: 204dfe46bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吉野あまみず | 作成日時：2019年8月22日 6時
