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私立進学校の弱小運動部を入部一年目で全国区にまで導いたとあっては、本人の否応にかかわらず、そうならざるを得ないだろう。
中途半端な落ちこぼれ三年生であるこの私など、本来ならば口も利けない、どころか、それこそまさに影も踏めないような存在だったはずの、恐るべき下級生だ。
ついこの間、左腕に怪我をしたという理由で、キャプテンの座を後輩に譲り、バスケットボール部を早期引退――そのニュースがどれだけ衝撃的に学校中に響いたか、それは記憶に新しい。
古びることさえ、ないだろう。
月崎の左腕には。
今も、包帯がぐるぐるに巻かれている。
「そう」
と、月崎は静かに言う。
「俺はこの通り、引退した身や。バスケットボールしか取り柄のなかった俺が、学校に対して貢献できることなど何もあらへん。せやから阿良々木先輩も、俺をそのように扱ってもらいたい」
「扱うって……お前ってなんか、何事に対しても自信ありげな癖に、微妙に自己評価低いところがあるよね。そういうこと言うもんじゃないよ。
お前がバスケットボール部に対してやってきたことは、ちょっと早めに引退したくらいで、ぱっと消えてなくなることでもないだろうに」
早期引退したことを気に病んでいる――というわけでもないのだろうが、まあ実際、あんなことがあって、そのままの自分でいろという方が、無茶な話か。
けれど、私としては、やっぱり月崎には、そんな、自分を卑下するようなことを、言って欲しくはなかった。
「おおきに、阿良々木先輩。心遣い、痛み入るばかりや。その気持ちだけは受け取っておく」
「言葉もきちんと受け取れ。じゃあ、まあ、行くか」
「おう」
言って、月崎は素早く私の左側に回り込み、実にナチュラルな動きで、私の空いていた左手に、自分の右手を繋いだ。
『手を繋いだ』というよりは、『指を絡めた』という感じだった。五指がそれぞれに、もつれあっている。
そしてそのまま、私の腕に自分の身体をぎゅっと、まるで抱きつくかのように、隙間なく密着させてくる。
月崎が女子だったら、私の肘辺りに胸が来て、神経が集中したその敏感な部位に、マッシュポテトのような感触が伝わってきただろう。
というか、今も二の腕辺りにその感覚があるのは何故なのだろうか。こいつ、男だよな……？
「いや、阿良々木先輩。それを言うならマシュマロのような感触やろう」
「え！？ 私、今の馬鹿みたいなモノローグ、声に出してたの！？」
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灰猫(プロフ) - realさん» 毎度コメントくださりありがとうございます！🙇♀️正直作者自身も過去に作った設定などを見返してはそこにそのキャラ置くんだ！？となっているので驚きながら書いていますw少しずつ更新していきますのでお待ち頂けると幸いです！ (2022年5月21日 11時) (
レス) id: e872c5e500 (このIDを非表示/違反報告)
real(プロフ) - 元まーかー、りょくちゃのやつです()毎度コメント失礼します＼(_ _)今回の配役は驚きましたが最高です😊更新楽しみにしてます！ (2022年5月19日 19時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰猫 | 作成日時：2022年5月5日 5時
