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「……一応、他のコーナーも見ておくか」
天宮の忠告に従って、私は参考書のチェックを続けたが、やはり慣れないことは慣れないこと、どの参考書も同じようにしか見えず、とりあえずは天宮に言われたものだけを買うことにし(結局、最終的には六冊になった。一応私も時間をかけてゆっくりと計算してみたが、本当にぴったり一万円だった。すげえ)、私は参考書コーナーを離れる。
予算きっちりなのでこれ以上何を買うこともできないが、まあ、本は眺めるだけなら無料なのがいいところだ。
多量の参考書を抱えたまま漫画の新刊をチェックするというのも馬鹿みたいだが、しかし、参考書を抱えているとそれだけで頭がよくなった気がするので、そういう時間を過ごすのも悪くない……というか、この考え方が既に馬鹿な気もする……。
「……ん？」
とりあえず、移動しかけて――私はそこで硬直してしまった。ありえないものを目にして、思わず、硬直してしまった。危うく、抱えていた参考書を取り落としてしまうところだった。
いや。
ありえないというほどじゃない。
同じ町内に住んでいる人間同士が、その町で一番大きな本屋で遭遇する可能性は、決して低くはないだろう――少なくとも、一見ではそこに道があることもわからないような、寂れた神社に続く階段で、たまたますれ違う可能性よりは、ずっと高いはずである。
それだって、確率としてはゼロじゃない。
だから――それが二日連続で起こっても。
不思議じゃ、ない。
「……椎名」
参考書コーナーのすぐそばの、呪術・オカルトコーナーで、分厚い本を立ち読みしていたのは、椎名爽――弟の昔の友達、椎名爽だった。
一心不乱に本を読んでいるようで――向こうは私には気付いていない。さすがに正面には回れないので、私の方からも、横顔が窺える程度なのだが……それでも、面影が窺える。
小学生の頃、私の家に遊びに来ていた……というか、遊びに連れて来られていた、椎名だ。椎名爽と、変わった名前だったから、フルネームで憶えている。
下の弟と同じということは。
今――中学二年生か。
私服だからわからないが、恐らくは公立の、私が卒業した中学校に通っているのだと思う。私の弟達のように、この地方で私立の中学校を選択する子供はほとんどいない。
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灰猫(プロフ) - realさん» 毎度コメントくださりありがとうございます！🙇♀️正直作者自身も過去に作った設定などを見返してはそこにそのキャラ置くんだ！？となっているので驚きながら書いていますw少しずつ更新していきますのでお待ち頂けると幸いです！ (2022年5月21日 11時) (
レス) id: e872c5e500 (このIDを非表示/違反報告)
real(プロフ) - 元まーかー、りょくちゃのやつです()毎度コメント失礼します＼(_ _)今回の配役は驚きましたが最高です😊更新楽しみにしてます！ (2022年5月19日 19時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰猫 | 作成日時：2022年5月5日 5時
