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「阿良々木先輩、待たせてしまって申し訳ない」
六月十一日、日曜日。
さすが体育会系というべきなのかどうなのか、午前十時五十五分、待ち合わせ時間のきっちり五分前に、待ち合わせ場所の、私らの通う直江津高校正門前に、私の一つ下の後輩、元バスケットボール部のエース、月崎志麻は勢いよく駆けてきて、勢い余ってジャンプ一番、私の頭の上を軽く跳び越してから、着地し、振り向いて、右手を胸の前に、爽やかな笑顔と共にそう言った。
……私も、高校三年生としては、そりゃそんなに背の高い方ではないと自覚しているのだけれど、自分とさほど変わらない身長の後輩に正面飛びで跳び越えられるような身長ではないはずだと思っていたのだが、その認識はどうやらここで改めなければならないようだった。
「いや、私も今来たとこだよ。別に待ってない」
「なんと……俺の精神に余計な負荷をかけまいと、そんなみえみえの気遣いをされるとは、やはり阿良々木先輩は、気立てのよい方やな。
生まれ持った度量がちゃう。三歩下がって見上げない限り、俺ごときには阿良々木先輩のその全貌がつかめそうもない。
会うて数秒でこうも俺の心を打つとは、阿良々木先輩の器の大きさにはほんまに驚かされるばかりや。
一生分の尊敬を、俺は阿良々木先輩のためだけに、どうやら費やさねばならへんようやな。なんてことやろう、全く、お恨み申し上げる」
「………………」
相変わらずだな、こいつは。
そしてみえみえの気遣いって言うな。
さりげない優しさには気付かない振り、だろ。
「今来たとこだってのは本当だよ。それに、たとえそうじゃなかったとしても、お前もまた待ち合わせの時間よりも先に来たんだから、私に謝る必要なんかない」
「いや、それは聞かれへん。阿良々木先輩がなんと言おと、阿良々木先輩より先にこの場にいられなんだっちゅうだけで、俺が謝る理由としては十分や。目上の人物の時間を無駄にするっちゅうのは、許さられへん罪悪だと俺は思うてる」
「別に目上じゃないでしょ」
「年上の先輩やのやから目上でおうとる」
「あってるけどさ……」
それは、単に歳の問題だけなんだよなあ。
月崎志麻――直江津高校二年生。
つい先月まで、バスケッボール部のエースとして、学校一の有名人、学校一のスターとして名を馳せていた人物である。
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灰猫(プロフ) - realさん» 毎度コメントくださりありがとうございます！🙇♀️正直作者自身も過去に作った設定などを見返してはそこにそのキャラ置くんだ！？となっているので驚きながら書いていますw少しずつ更新していきますのでお待ち頂けると幸いです！ (2022年5月21日 11時) (
レス) id: e872c5e500 (このIDを非表示/違反報告)
real(プロフ) - 元まーかー、りょくちゃのやつです()毎度コメント失礼します＼(_ _)今回の配役は驚きましたが最高です😊更新楽しみにしてます！ (2022年5月19日 19時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰猫 | 作成日時：2022年5月5日 5時
