ページ ページ3
要は、友達が多い弟が(これは今も変わらず、弟二人に共通して言えることなのだが、あの二人は人の中心に立つのが非常にうまい。姉としては非常に羨ましい限りである)、家に連れてくる同級生としては、椎名爽は珍しく、一人で行動するタイプの少年だったということだ。
はっきり言って弟の友達なんて誰でも同じに見えてしまうので、必然、一人で、誰ともまぎれずにいた彼の名前くらいは、私の記憶にも残っていたというわけなのである。
だが、名前くらいだ。
やはりよく憶えていない。
だからこれも語尾が曖昧になってしまって申し訳ない限りなのだが、椎名爽は、内気で、言葉少なで、俯いていることが多い子供――だったと思う。
思うのだが、まあ、しかし、わからない。
ひょっとしたらそれは、弟の他の友達の特徴だったかもしれない。
あるいは当時の私の友達の特徴だったかもしれない。
そもそも、小学生の頃の私は、弟が家に友達を連れてくることを非常に迷惑に、鬱陶しく思っていたのだ。
ましてそれに付き合わされていた相手の、印象がよいわけがないのである。
今にして思えば、友達の姉貴と遊ばねばならなかった、弟の友達たちの方がいい迷惑だったのではないかと思うが、いずれにせよあくまでも昔の話で、あくまでも小学生の感性だと、そう理解して欲しい。
実際、私が中学生になってからは、下の弟も、家に友達を連れてくることは少なくなり、あったとしても、私を遊びに誘うことはなくなった。
部屋が別になったからというのもあるだろうが、もっと別の理由もあるだろう。そんなものだ。
大体、弟は二人とも、中学は私立に行ったから、人間関係のほとんどは、彼らの小学校卒業時にリセットされたはずである。
椎名爽が弟の同級生だったのは小学生の頃の話で、今はもう、そうではない。別々の学校だ。
だから私が椎名爽に最後に会ったのは、どんな贔屓目に見積もっても二年以上前、そして恐らくは六年以上前――ということになる。
六年。
人間が変わってしまうには十分な時間だ。
少なくとも、私は自分のことを、すっかり変ってしまったと認識している。
昔からそういう奴だったと言っても、やはり今と昔とでは違うのだ。
小学校の卒業アルバムなど、今の私は痛々しくて、とても見ていられない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 50人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
灰猫(プロフ) - realさん» 毎度コメントくださりありがとうございます！🙇♀️正直作者自身も過去に作った設定などを見返してはそこにそのキャラ置くんだ！？となっているので驚きながら書いていますw少しずつ更新していきますのでお待ち頂けると幸いです！ (2022年5月21日 11時) (
レス) id: e872c5e500 (このIDを非表示/違反報告)
real(プロフ) - 元まーかー、りょくちゃのやつです()毎度コメント失礼します＼(_ _)今回の配役は驚きましたが最高です😊更新楽しみにしてます！ (2022年5月19日 19時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：灰猫 | 作成日時：2022年5月5日 5時
