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「まあ、いずれにせよ、デートで行くような場所じゃないのかもな――季節も季節だし。
昨日も、一通り説明したつもりだったんだけど、ほら、歌詞さんからの仕事だよ」
「歌詞さん？ ああ、伊東さんか」
そう聞くと、月崎が複雑な顔をした。この後輩にしては珍しい反応だが、まあ、さもありなんという感じだ。
伊東歌詞太郎。
私にせよ月崎にせよ相川にせよ――全員、その男に助けられた。いや、助けられたなんて言い方を、やっぱり歌詞さんは許さないだろう。
一人で勝手に助かったと、それはあくまでも、そう言うしかないのだ。
怪異の専門家にして根無し草の放浪者。
趣味の悪いアロハに軽薄な性格。
大人として尊敬のできる相手では決してないが、それにしても、私らがあいつに世話になったことは、揺るぎのない事実である。
「うん。あの山の中に、今はもう使われていない小さな神社があるそうなんだけど、そこの本殿に、お札を一枚、貼ってきてくれ――っていう、そういう仕事」
「……なんやそれは」
不思議そうに聞き返してくる月崎。
「お札というのも不可解だが、しかし、そんなの、伊東さんが自分でやればいいのではないのか？ あの人は基本的に暇なのだろう？」
「私もそう思うけど、まあ、『仕事』だよ。私はあいつに世話になったとき、洒落にならないような多額の借金をしちゃってるからね。
……お前だってそうなんだぞ？ 月崎」
「え？」
「お前のときはなんだか有耶無耶になっちゃってるけど、あいつはあれでもれっきとした専門家なんだから。
タダで力を貸してくれるほど甘くはないさ。世話になった分は、働いて返さなきゃ」
「ああ、それで――」
月崎は得心いった風に頷く。
私はそんな月崎の言葉を「そう」と、継いだ。
「だから、私はお前を呼び出したってわけ。昨日、そらるに血ィ飲ませに行ったとき、歌詞さんに頼まれてね。
お前も一緒に連れて行くよう、歌詞さんから言われたんだ」
「そう言えば、伊東さんは執拗なほど、『力を貸す』ちゅうような言い方をしとったな……ふむ。
なるほど、借りたものは返さんかったらならへんっちゅうわけか」
「そういうこと」
「わかった。そういうことやったら是非もない」
月崎はぎゅうっと、より強く、私の腕に抱きついてきた。
その行為の意味は複雑そうで推し量ることができないが、どうやら、何かを決意したらしい。
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灰猫(プロフ) - realさん» 毎度コメントくださりありがとうございます！🙇♀️正直作者自身も過去に作った設定などを見返してはそこにそのキャラ置くんだ！？となっているので驚きながら書いていますw少しずつ更新していきますのでお待ち頂けると幸いです！ (2022年5月21日 11時) (
レス) id: e872c5e500 (このIDを非表示/違反報告)
real(プロフ) - 元まーかー、りょくちゃのやつです()毎度コメント失礼します＼(_ _)今回の配役は驚きましたが最高です😊更新楽しみにしてます！ (2022年5月19日 19時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰猫 | 作成日時：2022年5月5日 5時
