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「けど、月崎。一応、そのアウターの前は閉じときな。山に入るのにへそ出しっぱなしってのはいかさままずいでしょ。
クラッシュジーンズは――まあ、気をつけりゃ大丈夫なレベルか」
「ふむ。では仰せの通りに」
言われるがままに、上着のボタンを閉じる月崎だった。
くびれたウエストが見えなくなる。ちょっとばかり残念な気がしなくもないが、そういった邪な感情は彼氏の後輩に対して向けるべきものではないはずだ。
「じゃあ、行こうか」
「阿良々木先輩、そう言えば今日は徒歩なのか？」
「ああ。向かう場所が山だからね。どこに駐輪場があるかもわからないし。一台しかない自転車を盗られちゃ敵わない」
外出用のマウンテンバイクは、木っ端微塵にされてしまったからな……誰かさんの『左腕』によって。まあ、嫌みったらしくなってはいけないから、いちいちそんなことは言わないけれど。
「それに、そんな遠出ってわけでもないしね。ほら、月崎、もうこっちからでも見えるでしょ？ あの山だよ――」
と言いながら、私はふと、思い出す。
先月、月崎と会話をするようになって間もない頃、月崎は相川を慕うあまり、その彼女と身体が接触することを嫌い、私の自転車の後部座席に乗ることを辞して、自転車の横を併走するという常識的観念からすればびっくりするような選択をしたことがあった。
……そんな彼は、今、私と手を繋いで、指を絡めて、胸をぐいぐい押し付けてきている……。
「へへへ」
月崎は無邪気ににこにことはにかんで、スキップするような足取りだった。
「阿良々木先輩、阿良々木先輩、阿良々木先輩、阿良々木先輩、阿良々木先輩〜〜〜」
「………………」
なつかれちゃったなあ、おい！
鼻歌交じりだよ！
「ところで、お前さ……月崎。前から言おうと思ってたんだけど、その、阿良々木先輩っての、やめない？」
「え？」
想定外のことを言われた感じに、きょとんとする月崎。
「どうしてや？ 阿良々木先輩は阿良々木先輩やろう。阿良々木先輩を阿良々木先輩以外の呼称で呼ぶなど、考えられへん」
「いや、それ以外にも色々あるでしょ」
「気仙沼先輩とかか？」
「名前の方を変えるな」
そっちじゃねえ。
誰だよ、気仙沼。
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灰猫(プロフ) - realさん» 毎度コメントくださりありがとうございます！🙇♀️正直作者自身も過去に作った設定などを見返してはそこにそのキャラ置くんだ！？となっているので驚きながら書いていますw少しずつ更新していきますのでお待ち頂けると幸いです！ (2022年5月21日 11時) (
レス) id: e872c5e500 (このIDを非表示/違反報告)
real(プロフ) - 元まーかー、りょくちゃのやつです()毎度コメント失礼します＼(_ _)今回の配役は驚きましたが最高です😊更新楽しみにしてます！ (2022年5月19日 19時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰猫 | 作成日時：2022年5月5日 5時
